7『第6,7相ダイジェスト』
乙「……強硬手段に出ましたね」
甲「もともとこのダイジェストの発端は『物語がクライマックスを迎える前に丁度ゴールデンウイークが重なったから、この機会に新規さんも呼び込める振り返りを行う』って考えだったからね。はみ出すのは本意じゃないってことさ」
乙「まぁ、6,7相合わせても5相より話数少ないですから、無理ではないですが」
甲「無論一直線とはいかないけど、これから物語は円を描きながらも段々と確信に近づいていく。ふたつ併せたからといって、片手落ちな解説にはしないさ」
Q1 第6相ではどんな展開が起こる?
乙「前の相は、紆余曲折の末に石井がこれからの行動指針を定め、記憶の洗い直しを始めた所で終わりました」
甲「ああ。更に藤沢芳也の狡猾な手によって、人肉を口にしない弊害はひとまずの所消え失せている」
乙「無論、根本的な解決ではありませんが」
甲「その根本へと向かい始めるのがこの相だ。それから2週間が過ぎ、3人は新たな
乙「前回と打って変わって、妙に積極的にブリーフィングに口を挟む石井。これも前相での藤沢院長による説得の賜物……というだけではありませんでした」
甲「石井はこれより1週間ほど前に弟の和也と再び顔を合わせ、そこである重大なヒントを手に入れていた。自らの記憶に沈むひとりの女性……それはやはりというべきか、三吾美恵だった」
乙「写真というこの上ない物証を前に認めざるを得ない石井でしたが、ならば何故再会の折り彼女は何故自分を知らぬ者と扱い、あまつさえ頑なに敵対視するのか……そこには更に何かが隠されていると踏んだ彼は、確信を得るべく直接彼女を問い質すことにしました」
甲「だが、普段の彼女には取り付く島もなく、また隙も生じない……そこで石井はある算段を立てる」
乙「これからふたりには被験者を追い詰める作戦が待っています。そこでわざとヘマをすることでトラブルを招き、その混乱に乗じて彼女の鉄面皮を剥がそうと画策します。それは三吾美恵の持つ『予想外の事態に酷く弱い』という癖を見抜いてのものでした」
甲「命のやり取りを行う最中に意図的にミスをするんだ。石井とて当然そのリスクを承知した上での決断だった……が、彼が仕掛けるより先に勝手に事態が動くことまでは想定していなかったようだ」
乙「既に取り乱している三吾美恵から届いたのは、対象が工事中の道路から下水道に入り包囲を逃れるという予定外のトラブルが起こった知らせでした」
甲「詰問どころでなくなった石井はインカム越しに藤沢芳也と協力してプランを練り直し、下水道の出口で目標を挟み撃ちにするが、窮地に追い込まれた三吾美恵を庇ったことにより、腹部に重傷を負ってしまう」
乙「霞む意識の中、どうにか彼女に問いかける石井でしたが、返って来た言葉は決して、自分の考えを裏付けるものではありませんでした」
甲「『美恵みたいに完全ではない』。外見も地位も三吾美恵そのものであるはずの彼女が口にした答え。そこにはどんな意味が隠されているのか――ここまでが第6相だ」
乙「一度区切って、続けて第7相の解説に移りましょう」
Q2 第7相ではどんな展開が起こる?
甲「……とはいっても、この相は次の山場に繋がるブリッジのようなものだ。特筆すべき展開は――石井が本物の三吾美恵を見つけるくらいか」
乙「いや、それ相当大きくありません?」
甲「主人公である石井からすれば驚天動地の展開だけど、読み手の皆さんは直前に偽物のモノローグを聞いている。既に答え合わせは終わった後さ。それに本物は病床に寝かされたまま、何も語りはしない。続けよう」
乙「……結局、石井にしてみれば『何故三吾美恵に本物を演じる影武者がいるのか』そして『何故本物は眠り続けているのか』という、新たな謎が増えただけでした」
甲「新たな被験者も見つからない中、つかの間訪れた日常の中に鏑木の思い出を見出し、戸惑いと後ろめたさを覚える石井。だが沈んでばかりもいられない」
乙「意を決して偽物の三吾に詰め寄り、彼女と話す約束を取り付けますが……その前に、以前連絡を取った学生時代の友人、高柳一志と逢うことになります」
甲「実家に寄り道してバイクを取りに活かされ、予期せぬツーリングの中で記憶の一部を取り戻す石井。その中で微笑む本物の三吾美恵を思い返せば返すほど、今デスクを並べる人物とかけ離れていく」
乙「そもそも彼女は一体誰なのか……全くのノーヒントで突き付けられるその問題に仮説すら立てられないまま、偽物の三吾美恵との待ち合わせに赴きますが」
甲「そこに藤沢芳也より緊急の連絡が入り、事態は誰の手も離れて大きく動き出す――」
Q3 第6,7相のキーポイントは?
甲「全体の流れで見ると、もう謎を見せるシークエンスは終わって、あとは段階的に種明かしとなっていくから、特にはなあ……」
乙「いやいや、偽物の正体は誰か、でしょ!いきなり新しいメインキャラクター出て来てるんですから」
甲「そうなんだけど、そもそも驚きを齎すために、その気配すら最小限に抑えて来たんだ。当然出自も語られていないし考察の余地もないんだよ。突然新しい人物が現れるという事に極力アンフェアな印象を与えないよう、彼女が本物ではないというヒントは色々撒いてある……けどやっぱり不公平だったかなぁ」
乙「判断の難しい所ですね。『彼女』に関しては今後語られる……というより、第0相の主人公でもあるので」
甲「今はまだ、物語の発端となった人物のひとり、程度の認識で問題はない」
乙「自分から待ち合わせを打診しておいて、何故か石井の前に現れなかった彼女。その身に起きた災難から、次の相は始まります」
甲「更に、石井にとっても初めての選択が待つ。それがどんなものであるかは……次回の解説をお楽しみにという事で」
乙「それでは」
甲「また次回」
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