六章九話
「さて、先ほど侑里としていた話なのだが、君たちをこうしてこんな所に閉じ込めている理由を、しっかり話さなければならない。侑里に悪夢を見せた理由もだ」
そう言って『森の意志』は萌子の方をちらりと見てから、話を続けた。
「侑里。君は青い花びらに触っただろう。我が家についていた物だ」
「ちょっと待ってください。『我が家』ってどういうことですか?この大量の和室こそが、あなたの家じゃないんですか?」
「いや、それは違う」
『森の意志』に対して桃が口を挟むと、すぐに『森の意志』は答えた。
「この森に伝わる話を君たちは知っているだろう?その『鬼』が私と契約して以来、薬師の家が私の家だ。祠や神社もあるにはあるが、そんなものは飾りに過ぎない」
取り壊すのも忍びないから、何も言わないでいるがね。と、『森の意志』は補足してから、話を続けた。
「あの花びらは、『孤独の樹』――君たちは『青銅の門』と呼んでいるが――から生じたものだ。少し前に世界中に花びらが散らばってから、世界各地であの花びらが残り続けている場所がある。あの花びらは、残り続けているだけなら無害なのだが、触れるとよろしくない事態が起こる。今君たちが陥っている事態のように」
「あなたみたいな人たちが取り除いてしまえば、問題のない話では?」
今度は萌子が質問するが、それに対して『森の意志』は首を横に振る。
「残念ながら不可能だ。私たちのような存在は、高い
『森の意志』は、落ち着いた動きで萌子の方に真っ直ぐに歩き、萌子の手に触れた。そして持ち上げようとするが――できなかった。萌子の手首をすり抜け、『森の意志』の手が上に上がっただけである。
「この通り、今の私の体は雪河響と大差ないものとなっている。侑里。『第三の手』で私に触るんだ」
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