第33話 学生会長の弱点
咲良さんが今晩泊まっていくという。
なので私もそうすることにした。
お金の出所がわかった以上心配する事も無い。
さて。
OBや男性陣が風呂から出てきてますます保養所モードになった。
カラオケやら卓球やら雀卓やら。
いかにも保養所らしいアイテムまで出てきた。
雀卓でやっているのは麻雀では無くポンジャンだったけれど。
OB陣はカウンターで晩ご飯の残りや作ってもらった軽食をつまんでいる。
「やっぱり最後はここで食べないと落ち着かないのよね」
「由香里、それ食べ過ぎの原因」
等の声が聞こえる。
他に詩織先輩や愛希先輩はラーメンチャーハン餃子付きを食べていたりもする。
「これで〆なのですよ」
と言っているが、充分それだけで通常の夕食のボリュームがあるような。
そんなこんなで。
「12時を過ぎました。消灯準備ー!」
という誰かの声で片付けが始まった。
卓球台や座卓は廊下側の手前の部屋へ。
座布団もそっちへ。
そして代わりに布団部屋から各自掛け布団敷き布団にシーツ、枕を持ってくる。
何か修学旅行みたいだ。
私には修学旅行に楽しい思い出はあまりないのだけれど。
でも今日は何か楽しい。
消灯と言っても修学旅行みたいに色々うるさくは無い。
なので皆と頭あわせで布団を敷いてお話会を開始する。
「特区は女性7割です。だから彼氏が欲しい人は早めに行動した方がいいですわ」
というとんでもない話題から。
「実は学生会の男子、皆しっかり捕まっちゃっていますからね。昨年の愛希先輩なんて見事なものでしたわ。あっという間に完全に朗人君を囲いこんでいましたし」
「いやさ、最初はそういうつもりじゃなかったんだけれどさ。でも美雨だって同じ位早かったじゃないか」
「私はこっそり2人きりで寝たりしていませんから」
「いや、あれは私が調子悪いのを朗人が心配してだな。それに何も無かったぞ。それは4人でこっそり監視していたから知っているだろ」
愛希先輩、ちょっとうろたえている。
「他に誰もいない保養所で、2人で布団を並べて一緒に寝たのですよね」
沙知先輩が追い打ち。
「何かいやらしいなその言い方。性的な何かは全然なかったぞ。大体全部知っているくせに誤解を招くような言い方しないでくれ」
「でも朗人君って意外と大胆ですよね。俺様状態で愛希を連れまわして、挙げ句の果てに2人で保養所来て、2人でお風呂入って2人で寝て」
これは理奈先輩だ。
「だから必要以上にいやらしく言わないでくれ」
「わかっていますわ。あれが恋愛経験に乏しく初めての嫉妬を発病してしまった愛希に対する最適な対応だったという事は」
「うぬぬ」
理奈先輩にかなわない愛希先輩。
学生会長、こっちの面では最強とはほど遠いらしい。
しかしかなりきわどい話なのにいやらしさをあまり感じない。
何故だろう。
クラスメイトが女同士の時にやっている男の話。
私は毛嫌いしていた筈なのに。
「参考までにちゃんと説明するとだな。学園祭の時の事だけれどさ。私が柄にもなく朗人に近い女の子達に嫉妬なんてして調子崩してさ。何か本格的に体調まで悪くなってしまったんだ。
それに朗人が気づいてさ。一緒に散歩して、一緒に買い物して食事作ってと面倒見て貰った。それだけだからさ」
「はいはい惚気。ラブラブでいいですねえまる」
「って、理奈だって沙知だって結構もてるじゃないか。少なくとも理奈!もう3回以上、『お友達でいましょうね』やっているだろ!」
「まだまだ現実の男より仮想のBLの方が楽しいですし」
「悲しい現実より楽しい仮想!」
理奈先輩と沙知先輩、息が合っている。
「駄目だ、腐ってやがる!」
愛希先輩ががっくりうなだれた。
どこまで本気かはわからない。
でも笑える。
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