常の日に非ず
死に纏わる記憶
十字路
実家から西に50メートル程の所に、交差点があります。
今は信号機があるのですが、私が子供の頃には信号機などなく、よく事故が起きる十字路でした。
あれは4、5歳の頃…。
夜遅くにとても大きな音が響いて、寝ていた私は飛び起きました。
また事故か、と起き出した父が野次馬に出掛けようとしていました。いつもなら怖がる私は、なぜだかこの時ついて行ってしまったのです。
予想通り、十字路で事故が起きていました。
信号機が無い十字路には、一時停止の標識が4方向ともに立っていました。
南北へと延びる道は車通りが少ないのですが、東西へ延びている道は真っ直ぐで、スピードが出しやすく交通量もありました。
必然的に、東西を走る車やバイクがスピードを出し過ぎて一時停止を止まりきれず、事故を起こしてしまうケースが増えます。
この日の事故も、直接的にはスピードの出し過ぎが原因でした。
一時停止で止まった2トントラックに、猛スピードで走ってきたバイクが突っ込んだのです。
バイクは宙に舞い、2トントラックの荷台へと叩きつけられていました。
衝撃は凄まじいものだったのでしょう。
現場を見に来た野次馬で、人だかりになったその隙間から、私は、見て、しまったのです。
あらぬ方向へと折れ曲がった、血にまみれた腕と脚を…───。
それは、私が初めて見た、即死した死体でした。
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