第32話Regrets - 未練

32.


 "I want to get back together with you. 復縁したい3"

 


== 樋口瑛士 + 神崎 蓮 ==



 どちらにしても遠目でしか見ることができないので、どんな

男なのか実態が掴めない。


 俺はついに会いに行くことを決心した。



 今までの様子から俺は眞奈が行かないであろう時間に狙いを定めて

お寺に出かけた。


 男はちょうど境内で庭掃除をしているところだった。

 良かった・・外にいてくれて。少しは敷居が下がったというものだ。


 俺が近づくと男はこちらを見て微笑んだ。



 「こんにちは。どうぞごゆっくり・・」



 「私は眞奈の元夫です」



 俺が男にそう告げると、男の顔から先ほどの微笑みが消えた。

 だが穏やかな雰囲気は無くならなかった。


 ほんとにこの男が眞奈の相手なのか?



「ただのお参りではないということですか?」



「眞奈とはどういう付き合い方をしているのかあなたにお尋ねしたくて

きました」




「そうですか。確かにお付き合いはありますが、どういうと言われましても

答えに困りますなぁ」



「答えに困るようなら、恋人関係ではないと思っていいんですよね?」




「どうして私にそんな確認するような事を言うのですか?」




「いえ、今の眞奈に恋人がいるのかどうかを知りたかっただけなので・・

違うのならいいんです。いきなり不躾な質問をしてしまいましてすみません

でした。それでは・・」



 何か全てにおいて相手の男に対して瞬時に負けた感と敗北感を感じてしまった

俺は、相手がはっきりと眞奈の恋人だ、と言わなかったのをいいことに、その

言葉が出ないうちに、相手が言ってこないうちに、早々と退散することにした。



 知らず知らずのうちに小走りになっていた。

 あーっ、俺は・・ヘタレだ、クソッ。


 それなのに、もうすでに退散体制に入っていたのに、男は渋い声で

俺の背に向けて声をかけてきた。


「私と眞奈は男と女の関係だよ」



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