第35話 大賞受賞

 彼女の前に座ると、いつも緊張する。

 自分の原稿を支えてくれる存在だから、こればかりはしょーがない。

 真顔の彼女と目が合った。

「大賞受賞!! おめでとうございますっ!!」

「へ?」

「いやーもー、遅いくらいですよ!」

「遅い…っすね…。そうですね…すんません…」

「まー、今までそこまでの話がなかったってのもありますけどね」

「ぐっ」

「書けばいけるんですよ、先生は。ね?」

 どこか含んだ色をした目は、自信たっぷりに笑っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る