第33話 ねこさがし
その家には猫がいるらしい。家族にもめったに姿を見せないという。
その猫を探したくなった。
和室。屋根裏部屋。台所。家の裏まで見てみたけれど、猫の痕跡もない。
本当にいるんだろうか。
ひょこりと姿を現したのは、ひとりの子ども。5歳くらいだろうか。この家に子どもは住んでいないけど、気にしない。子どもが言った。
「なに探してるの」
「猫、探してるの」
「ああ。猫、いるよね」
「どこにいるかわかる?」
「ううん」
「どこにいるんだろう…」
「一緒に探そうか」
「ありがとう、お願い。見つけたら教えて」
「うん」
子どもが何度か見たという現場にも行ったけど猫は出てこない。
さすがに疲れてきたので、客間に戻って寝た。
目を閉じて息を吐いた。
寝ている自分の布団の足元をのしのしのしと誰かが歩いていく。子どものような大人のような。
隣の倉庫で、誰かが刃物を振り回している音が聞こえる。かなり怯えているのか、闇雲に振り回しているようだ。ヒュッ、ヒュッ、空気を斬る音は止まらない。
目を開けて、起きた。さあ猫の捜索開始だ。今度は子どもの姿も消えていた。
まあいいや。自分ひとりで探そう。
子どもが教えてくれた猫のねぐらを、もう一度チェックした。
あ。見つけた。
ねぐらですやすやと寝ている、かわいい子猫がいる。
ボロボロの着物を着た白骨化した子どもの腕をまくらにして、安心しきった顔で寝ている。邪魔してはいけない気がした。
おやすみ。
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泊まると決まってうなされる親戚宅がある。寝ている最中になにか乗られたような息苦さにたまらず起きたら夜中2時とかザラで、視線は感じないけれど「訴えてくるなにか」が在る感じがあった。
その家にまた泊まることになった。そこで見た夢。
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