第29話 おばあちゃん

 顔も知らない子どもが出る運動会に行った。名も知らない夫と、今回はおばあちゃんも一緒。おばあちゃんとはひさしぶりに会ったけど、とくに騒ぎもせず、穏やかに笑っていた。

 昼食のため一度帰宅。また運動会会場に行かねばならない。しかし行くメンバーがひとり足りない。夫に聞いたら、おばあちゃんは先に行ったそうだ。早っ。


 靴を履こうとすると、足の指が痛かった。見ると、親指の爪が割れていて、血も出ている。時間がないというのに、まったくもう。

 靴は無理そうなのでサンダルにした。もちろんうまく歩けない。痛くはないけど、時間がかかる。これでは子どもの応援に間に合わないよー

 通りすがりにある馴染みのお店から「どうしたの」と声がかかった。美人な友達に事情を話すと、友達はささっと手当をしてくれた。助かった。

 気になってもう片方の足を見ると、同じように親指の爪が割れていた。

「明日、病院かな…」

「いや、大丈夫でしょ。すぐ治るよ」

 友達はそう言った。

 

 運動会会場には遅刻して到着。子どもに遅いと怒こられた。ごめん。

 そして会場にいるはずのおばちゃんが見当たらない。どこへ行ったんだよー。おーい。うまく進行しないのは、なんとも困るね。

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