第19話 抜き打ちテスト

 今日の英語のテストは落とせない。落としたら今度こそやばい。それがわかっているからほとんど徹夜で勉強したけど、やっぱり頭に入ってくれず、がっくりしながら登校、自分の席につく。

 机の上には未記入の解答用紙が置いてあり、目の前の黒板には英文がびっしり殴り書かれていた。あれが今回の問題というわけじゃないようだが、どれも暗号のようで、見ているだけで頭が痛くなる。吐きそうだ。


 チャイムが鳴った。教室内が静かになった。教室のドアが開いた。

 さあ明暗を分けたテストが始まる。ううう胃が痛い。ええい、イチかバチかだ。来いっ。

 ちょっと間をおいて、問題用紙を持った英語教師が入っ…

 知らないおっさんがひとり…

 続いてふたりめ…

 さらに…え?

 汚い格好をした知らない外国人のおっさんが入ってきた。

 続けて、サンタの服を着た以下同文。

 そのあとに、おしゃれな紳士風の以下同文。

 最後におおきなトランクを持った同じく。


 外国人のおっさん4人が入ってきて、黒板の前に並ぶなり、なにやら問答が始まった。英語で互いにあれこれ言っている。おおきな身振り手振りと英語を聞きかじると

どうやら3人で出かける前らしく、チケットが無いだのお前の服はおかしいだの荷物はどうしただの。喧嘩になりつつ笑いも入ったので、どうやらこれはコントらしい。最後にハッハッハと笑って4人で礼をし退場していった。

 入れ替わりに今度こそ英語教師が入ってきた。

「楽しんでいただけたかな?じゃあリラックスしたところで、テストを始めよう。各自、机の上に解答用紙があると思う。今、彼らがやったやりとりを日本語訳で書きなさい。始め!」

 ええええええええええ

「まあ、私も鬼じゃない。黒板に書かれているものは彼らの紹介文だ。遠慮なくヒントに使ってくれたまえ」

 テスト壊滅、決定。

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