Chap1-3 斎藤氣恵
私の名前は斎藤氣恵。立川女子高の二年生で剣道2段。獅子座のB型。
皆からは“オッキー”って呼ばれている。
実家は道場をやっていて、お母さんとおじいちゃんの3人家族。
お父さんは警察官だったけど、私が7歳の時に死んじゃってる。
まあ、家庭は単純じゃないけど、結構普通の女子高生のつもり・・・だったんだけどね、その日までは。
5日前、東京の空を巨大な流れ星が瞬いた。
「不吉な事の始まりだ」なんてネットで騒いたのを覚えている。
それから3日後に私の町の公園の池で食いちぎられたような人間の足が見つかって、「巨大なワニがいるんじゃないか?」的な疑惑から池の水を全部抜いたらしいけど、結局何も発見されなかった。
と言うか、私にはあまり関係のない事だと思っていた。
だって今月末には文化祭があるし、来月頭には全日本剣道選手権が待ってる。
毎日忙しくてはっきり言ってそれどころじゃなかったわけ!
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その日、10月20日は、全日本剣道選手権に向けて総合スポーツセンターで強化練習会が行われていた。
その強化練習会は18:00程度に終わって、シャワーが激込みだったから、浴びずに帰ることにした。バラバラ死体が見つかった池が近くにあって、気味が悪いから暗くならないうちに帰りたかったのよね。
ちなみに、私は道着の時は下着を付けない派だから、帰りのパンツはさらさらって事。気の短い乙女にはおすすめだね!
外に出ると小雨が降り出していたけど、天気予報を見ない性格の私は自転車だった。
サドルをぬぐって自転車にまたがったその時、隣接された動物園の方から女性の悲鳴が聞こえた。
私は剣道なんてやってるから、変に正義感が生まれちゃって、直ぐに行くことにしたけれど、本当、これには後悔している。(変な正義感なんて出すもんじゃないよ皆!!)
鹿舎のあたりに近づいた時、衣服を強引に剥ぎ取られた女の子。”昭和高校の制服だ” その上に覆いかぶさろうとしてる男の子の姿が見えた。
私は竹刀を抜いて「お前何やってるんだぁぁぁ!変態がぁ!」と切りかかったけど・・・違った。この男の子、首が無い!
女の子は目がうつろになりながらが「ムカデが…ムカデが…」とつぶやいている。
私はハッとなってあたりを見渡した。そういえば鹿がいない!いや違う、よく見ると切り離された脚やら首が散乱している。
(本来吐きそうな状況なんだけど、私こう言うの強いんだわ、実際。)
「どうやら、やばい奴がいる」直観ではそう分かったけど姿が見えない。
だけど、私はあることに気が付いた。
目を凝らすと、3メートル程先の空間?その空間だけ雨粒が下まで落ちていない。
空中の小さな雨溜りが公園の街灯を反射して、その形は大きな蛇のような形をしている。
「お前か?お前だな!!」
私がそう言うと、その蛇のような形は起きあがったかと思うと、ものすごい早さで私めがけて飛んできた。
私は渾身の突きをそいつめがけて叩き込む。
「メリ!」と言う音を立てて竹刀が突き刺さり、蛇のような影がひっくり返ってのたうち回る。
ひっくり返ったそれは、今までとは違って姿を見せていた。
“裏側は透明じゃない”
その姿は基本的にはムカデ。
外側は透明なんだけど、裏側は赤茶色で、15対ほどある足もそこから生えている。
足の生え方はムカデよりはダンゴムシとかヤスデに近いかな?
刃渡り70cmほどの鎌のような大きな牙が、一目で口だとわかる箇所の両脇に生えていて、ギラギラと銀色に光っている。
目を凝らすと同じような影がぞろぞろと茂みの方から私たちの方へ向かってきている。
「逃げるよ!!」精神喪失したような女の子を私の自転車のサドルに座らせて、私は荷台に座り、女の子に覆いかぶさるような格好で自転車を全力で漕いだ。
ところで私、いったい何処に逃げればいいのよ~。
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