サイエンス・アンド・サイコパス。

単純科学は聡明に世界の色を映すけれども

そんな中にも映ることのない景色がある

歪んだ精神構造の絵図の世界ばかりは

単純科学で明らかにすることはできない

そこになにかしらの見地がないのならば

どんな言葉を持ってしても無駄になるのだ


たとえば殺人者の精神構造なんてものは

単純科学だけで明らかにはできない

簡単に同族を殺すという行為そのものを

否定する言葉自体は容易く浮かんでも

それで殺人者のこころを揺るがせるのかは

また別の問題にすり替わってくるからだ


単純科学と精神医学のせめぎあいの中で

僕たちはその行く末を見つめるべく

痛々しい答えの形というものを模索する

それがたとえ同族殺しを肯定したとしても

単純科学がそれを否定しきれない以上は

認めざるを得ない現実かもしれないのだ


小さく惨めにいのちが絶たれて逝く刹那に

僕たちができることはあるのだろうか

答えなどは存在しないのかもわからない

誰かが遠く空の彼方の雲の上あたりから

「バカなことだ」と嘲笑ったとしたって

そうであることを受け入れるしかないから


単純科学という武器をへし折られたその時

精神という名のどうしようもない愚を

僕たちはきちんと刻みつけられるのか

そうなってみないことにはわからないが

答えを探すまでもないのかもしれなくて

単純科学と精神の葛藤がいまも続いている

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