得意分野を書きまくることでお金は稼げるけれど

 ライターとしての腕もグングン上がっていき、1文字あたりの単価も1円以上のものが増えてきました。

 あの人からは苦手なジャンルを克服するために様々なお仕事を受けるように言われていましたが、やはり効率よく書き進めることのできる得意分野のお仕事をメインに受けてしまいます。

 その方が書くスピードも速いし、もらえる報酬額も高くなりやすいからです。1文字あたり1円以上もらえているのは、ほとんどが「恋愛」や「結婚」などの得意分野の記事。

 ただ、そこには不安もありました。


「ああ~あ、こんな風に自分の書きやすい文章ばかり書いていていいのかな~?こんなことばかりやっていると、自分の才能を狭めてしまうことになるかも。Webライターとしてだけでなく作家としても」

 私はひとり部屋の中で、自分の不安を口にしてみました。


 それでもよいこともありました。

 恋愛や結婚という風にテーマを絞ったことにより、そのジャンルに関しては様々な手法で文章を書くことができるようになったのです。

 どうしても各社似たようなタイトルで依頼を受けるので、内容的にも似たようなことを書いてしまいます。なので、あの手この手を使い、できる限り内容がかぶらないようにしなければなりません。

 テーマやメッセージは同じとしても、そこで使われるたとえ話やシチュエーションは全く別のものにします。

 そんなことを繰り返している内に、どんどん小説を書く能力も上がってゆくのでした。


 小説でたとえるなら、「恋愛」というテーマは同じでも、そこに登場するキャラクターやストーリー・デートの場所・小道具・ライバルの性格・仕事・収入・家族構成などを全然違うものに変えていくようなもの。

 いくらWebの記事とはいえ、ストーリー性は重要です。部分的には小説を書いているのと全く同じ。そういう意味では作家としてもいい勉強になっているのでした。


 とはいえ、やはりあの人に言われていたことは気になります。

「このままでは駄目になってしまう」という思いはぬぐい切れません。


「ああ~あ、どうすればいいのかな?このままWebライターとして生きていくこともできるけど。本業の方はやめてしまって、ライターだけに絞って生きることは可能なくらい単価は上がってきた。時間さえ増やせば十分な収入になるはず。でも、それって作家としての人生をあきらめることになるんじゃないかしら?」

 そんな思いが心を駆け巡ります。


 そんな風に迷っているある日のことでした。

 私に転機が訪れたのは。

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