まるで恋愛の達人になっちゃったみたい

 Webライターとして毎日毎日恋愛の記事ばかり書いていると、自分が恋愛の達人になったような気がしてきます。

 記事の中での私は百戦ひゃくせん錬磨れんまの恋愛の達人で、超経験豊富な40代の女性なのです。少なくともそのつもりになって文章を書いているので、その瞬間は恋愛の極意ごくいを極めた愛の神様が憑依ひょういしちゃってるのです。

 この瞬間ばかりは小説を書いている時と同じ。現実の私と物語の中の私は別人。現実がどうあれ、読者にとってこの記事を書いているライターは“恋愛の達人”でなければならないのです。


「そうか。こういうことなのね」と、この時、私は初めて納得しました。

 Webライターとして記事を書き続けることは、作家として小説を書くのに似ている。別の自分になりきって真剣に文章を書くという意味では全く同じ。

 きっと、あの人が私にやらせたかったのはこういうことだったのです。

 それに気づいた瞬間、これまでとは気合いの入り方が変わりました。魂そのものを乗せて文章を書くことができるようになったのでした。


「作家は女優と同じ。別の自分になり切って、別の人生を歩む」

 私はあの人の言葉を思い出していました。

 そう、別の自分になり切る。そういう意味では作家もライターも同じなのです。その言葉に従って私は書きました。書いて書いて書きまくりました。

 この先に何が待っているのかも知らず。それでも、ただ目の前の作業に没頭して書き続けたのでした。

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