結末
敵の襲撃を受けた後、俺たちは本拠地から逃げ出すはめになった。
何度かの逃亡劇の末に敵を撃破することに成功。数日ぶりに戻ったときには、本拠地は爆破されて瓦礫の山になっていた。
“幸いなことに死傷者はほとんどいない”と俺は言われた。死んだのはたったひとりだったからだ。
地下牢には壁に縫い付けられるようにして死んでいる雄二がいた。足元には猫が一匹。最近、勝手に出入りするようになった野良猫だった。寄り添うようにして、死んでいた。
葬儀は非常に簡単に行われた。埋葬場所は本拠地のすぐそば。俺の提案で、猫も一緒に埋められることとなった。
それから数日後。本拠地の再建を進めてる横で、俺は墓に花を供えにきていた。墓には木造の十字架が建てられていた。こちらでの祈り方は分からないので、簡単な黙祷で済ませる。
「怜司」
墓の前に立っていると、蒼麻がやってきた。彼女も花を一輪供えると、少しの間、黙祷を捧げた。
俺も蒼麻も言葉を発せずにいた。他人事として捉えるにはあまりに近すぎて、墓の前で雄弁に語るには雄二はあまりに他人すぎた。
それでも俺は墓前で、言いたいことがあった。
「……雄二、おまえは、どうしたかったんだ。俺に、どうしてほしかったんだ」
俺には最後まで、雄二という人間のことが分からなかった。あいつは俺に、そして俺たちになにも話してはくれなかった。
気がつけば、桜さんも来ていた。彼女は俺や蒼麻よりもずっと長く、黙祷を捧げていた。
「俺は、どうすれば良かったんだろうな」
俺に問いかけに、桜さんも蒼麻も答えることができない。それに答えられる人間は、この場にはいなかった。
雄二、俺には、俺たちにはおまえのことが分からない。分からなかったんだよ。
「……どうすれば、良かったんだろうな」
無意味な問いかけが再び口からこぼれ落ちた。
誰ひとりとして、答えることはできなかった。
異世界に行ってもモブのままの俺が主人公に一矢報いる話 じぇみにの片割れ @oyasiro13
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