第6話 消えた聖遺物
6ー1
ある街でのカフェにて。
恒例の朝食を摂っている。向かいの席には幾分か元気を取り戻したルニアが座っている。
男は、新聞を広げながらくまなく目を通していた。
ウェイトレスが運んできたパフェに浮き足立つのを辛うじて抑えているルニア。
いつものルニアらしい表情と仕草に男は思わず頬を緩ませる。
ここまで来る道中、殆んど会話らしい会話はしていない。何をどう接してあげるべきなのか男にはわからずにいる。
ルニアもまたそっとしておいて欲しいのだろう。多くを語らず時を過ごしていた。
だからこそ、男は柄にもなくルニアが好きなパフェが美味しい店を探し当てた。
ルニアを部屋に残し、何日もかけて街のカフェに足を伸ばしたものだ。
だがその苦労は実を結んだ。足を棒にして歩いた成果はルニアの嬉しそうに頬張る笑顔を見ればわかることだ。
だが男は自分が眺めていることを悟られないよう、軽く咳払いをする。
たちまちルニアは顔を赤くして、淑女然としながらパフェを口にする。
当たり前の光景。だがそれがいかに男の心を和ごましてきたのか。
心に起こった心境の変化に戸惑いながらも、その心地よさに安堵する自分もいる。
昔の自分には考えられないことだが、不快ではない。
それだけ男は、ルニアに心を許していたのを改めて気付かされるのだ。
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