大門前攻防戦(前)
◇
とうとう決戦の日を迎えた。今は大門のてっぺんから、岩の巨人の
両軍は
となりにはクレアの姿がある。彼女が希望したため、ここへ連れて来た。今となっては、
岩の巨人の半数は石像のように静止したまま、川の向こう岸で
「何で後ろの半分は休んでいると思う? ここまで来たから疲れたってわけじゃないよね」
「戦力を
目的が何にせよ、半数が休んでいることを頭に入れておかないといけない。
「あいつらはいない?」
「見当たらない」
しきりに岩の巨人の周辺へ目を走らせても人影はない。いまだにあいつらの姿は誰一人として目撃していない。けれど、近くに来ていないわけがない。
〈
今回の作戦で任された役割は能力者の相手。中でも、岩の巨人をあやつっていると思われるあいつが最重要ターゲットだ。
『なりすまし』や〈
城内はパトリックが目を光らせる。〈止り木〉へは宮殿二階の
とはいえ、敵の能力者は複数いる。大門周辺で
そこで、『なりすまし』を見やぶれるコートニーに、
彼女の護衛に当たるのはクレアとスコットの二人に決まった。クレアは
スコットは敵と
◇
まだ大門はかたく閉ざされたままだけど、すでに味方の部隊が大門の外に
陸では馬を駆った魔導士たちが
「午前十時に開門するぞー!」
下のほうで大声がひびいた。これは味方というより、敵への呼びかけで、東南地区へ向かわせないための
あと、時間をかせぐための
「いったん下に戻ろう」
「そうね」
クレアをかかえて大門から下り、下で待っていたコートニー、スコットと合流した。
「どうだった?」
「外には見当たらなかった」
「もう市街に入って来ているのかもしれないな」
「仲間のフリをしている可能性もあるわね」
「ちょっと街のほうを見てくる」
その場を離れようとすると、スコットに「ウォルター」と呼び止められた。
スコットはチーフから受けついだ氷の指輪へ、しばらく
「チーフのかたきを討とう」
決意の宿った瞳を向け、力強くうなずいた。あいつらが命を奪ったのはチーフだけじゃない。そして、これからも奪おうとしている。
何としても、それを阻止なければ。この街を絶対に守るんだ。
◆
トランスポーターとネクロの二人は、両軍がにらみ合う場所の数百メートル先にいた。そこから
「このまま門が開かなかったら、どうするつもりだ?」
「そうなったら、他の街へ遊びに行くまでです」
「ゴーレムは遊び疲れるんじゃなかったか?」
「みんなで遊びに行く必要はありません。そのために、これだけ用意したんです。でも、門は開きますから、ご安心ください。彼らが開かなくとも、きっと開きます」
「……ああ、そういうことか」
トランスポーターはひと足先に
「トリックスターは来ていますか?」
「さっき、あのデカい門の上に人影があった。たぶん、あれじゃないか」
「インビジブルのほうは無事ですか?」
「たぶんね。今は建物の中にいるみたいだ。たまに窓から外の様子を見ている」
ただし、音声は聞こえないため、連絡を取り合うことはできず、開門時刻の呼びかけがされていたことも、彼らはまだ知らない。
視界を用いて文字でメッセージを送るという使い方もあるが、その瞬間を相手が見ている必要があるので
辺境伯は夜のうちに市街へ入り、大門近くの建物に
「トリックスターの相手があるから、いつまでも君に付きそっていられないけど、大丈夫か?」
「それなら、ゴーレムが侵入を果たせたら市街まで連れて行ってください。その先はご迷惑をかけません。自分の身は自分で守れますから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます