あの御方
◆
何度も『
そこは
ウォルターの推測通り、サイコは死体の場所へ向かっていた。歩くことはせず、慎重に
相手の目的も、どこへ連れて行かれるのかも、コートニーは知らない。ただではすまないと覚悟していたが、望みがないわけではない。彼女には心強い
『ウォルターがすぐにそっちへ行くから、時間をかせいでほしいって』
『わかった』
そうスージーに返答したが、力で反抗すればサイコの
すると、
相手と接触していたため、
最も
「
見知らぬ種族名にデタラメな身長と体重。コートニーは困惑したが、それはサイコも同様だ。この人間はなぜ自分の正体を知っているのか。おたがいに眉をひそめながら、顔を見合わせた。
「あなた、何を言っているの……?」
「……あなたのこと」
ひるんだ様子もない、まっすぐとした受け答えに、サイコのほうがうろたえた。動揺のあまり、口をポカンと開けてかたまった。効果があるとふみ、コートニーは読み進めることに決めた。
「〈
いかなる理由で、七つも能力を持っているのか。コートニーは読み上げるだけで恐ろしくなった。相手が敵として目の前にいることを考えると、その感情がいっそう強まった。
コートニーは下の表示へ目を移した。現在かけられている能力が三つ表示されていた。
『能力:
『能力:〈
三つ目の表示は『アクセス
サイコが七つの能力を持つことは〈外の世界〉でも有名な話。知っていても、当てずっぽうでもおかしくない。
しかし、『エーテルの怪物』であることや、現在かけられた能力を、偶然言い当てるのは
サイコは確信した。この人間は能力を持っている。しかし、それを受け入れるには越えなければならない壁があった。
「あなた、どうして能力を……。まさか、『あの
サイコの生みの親である『あの御方』は、
ただ一人、
◆
サイコが唐突にコートニーの手を放した。
(もし、『あの御方』が能力をお授けになったのなら、何か深いお考えがあってのこと。この子を『
サイコは『あの御方』の〈
『あの御方』は
インビジブル――その能力を手に入れた
「インビジブルは使える男だ。ローメーカーとの間を取り持つように」
「これからどこへ?」
「ある男をさがしに行ってくる。しばらく戻らない」
そう言い残したきり、またどこかへ行ってしまった。それ
十年来、サイコはローメーカー――『最初の五人』の一人を中心とした
先日、〈外の世界〉に来たネクロとは顔を合わせる機会があったが、スプーとは
◆
コートニーが徐々に後ずさった。うわの空のサイコは何も行動を起こさない。
その時、骨の
「ウォルター!」
足もとに注意をはらいながら、コートニーがかけ寄っていく。ウォルターも敵を警戒しながら、少しずつ近づいていき、
コートニーを引き上げ、しっかりと抱きとめた。二人は手を取り合ったまま、安堵の表情を見せた。
「大丈夫でした?」
「うん」
二人を黙って見つめていたサイコの頭は、ある
(まさか、あの男の中にいらっしゃるのでは……)
ありえない話ではない。『あの御方』がサイコたちを生みだす前、巫女打倒のため、能力を与えて手先にしたのが『最初の五人』。その中でも、トリックスターは一番の
そして、二十年近く行方知れずだった男が、突如として姿を現した。その上、周囲に
だが、
しかし、サイコはその考えを飲み下した。きっと
ウォルターにますます手が出しづらくなった上に、ことごとく予定が狂った。サイコが最も
これ以上の抵抗は自分の首をしめるだけ。サイコはやむなく
「待ってくれ! 俺は違う、俺は違うんだ! 金で雇われただけなんだ!」
一方のサイコは、用を足せなくなった『器』――女の体から脱出して、夜の森へ消えた。
その後、
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