新しい世界

「ドリンクはいかがですかぁ〜?」

「お菓子はいかがですかぁ〜?」


はっきり言ってどんなかけ声だったか忘れたのだが、

それなりに大きな声で、プラカードを見せながら狭い席の間を歩いて行く。


暑い・・外野は屋根が無いので、お客さんも暑そうにしている。


それなりに氷やドリンクは売れ、なくなると補充しに戻る。

ご飯モノは注文を受けてから決まった場所へオーダーしに行き、

またお客さんのところに届けにいく。


暑い日差しの中、走って走ってかなりの運動量だ。

家好きの出不精が、こんな事をしているなんて誰が想像できただろう。


気になる彼女に目をやると、持ち前の笑顔とノリの良い接客で

ちょくちょく売っている様子。


売上は0円ではなかったのと、私のバイト先にノルマはなかったので、

そんなに焦ることはなく、お昼休憩になった。


ここぞとばかりに彼女の後を追いかける。

この人見知りの私が、「ご飯を一緒に食べよう!」と声をかける為に。


やっと追いつき、なんの躊躇もなく声をかけた。

すると、「いーでー!」と軽くokもらって嬉しかった。


それからは、よく2人で行動した。

途中休憩しては、「売れた?」と声をかけたり、私がサボって自分で商品を飲んだり食べたりしていると


「アホやん!」と笑われた。


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昭和の父と娘の一生分かり合えない話 蟻もんじ @arimonji

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