※注 本文に長歌とそれに係ることを載す
わが
そらみつ
かくしこそ
〔語釈〕
「さりくれば」は(時・季節などが)近づく。巡ってくる。
「
「
「
「雪とし」は、雪と。雪のように。「し」は強調。
「夢にやある」は、夢であるのか。「や」は疑問。
「
「そらみつ」は「大和」にかかる枕詞。
「かくしこそ」は、このように。「し」「こそ」はいずれも意を強める。「こそ」は通常
「美しき島」の「しき」は「美しき」と「
〔訳例〕
冬が過ぎて春が巡ってくると
雲のように群がって咲き
雪のように散ってしまうのを
わたしが見たのは夢であったかと
世の人々は戸惑う。
大和の国は
このように桜の花の
美しい島である。
長くなったが(長歌なので長いのは当然か)、最後の「美しき島」を言いたいがために作った。「長歌」は五・七・五・七……五・七・七の形式を取る和歌。
「
今日本に植わっている桜の木の多くがソメイヨシノという品種と聞く。その花は淡いピンクであって「白妙の」という枕詞がさほど効いていないかもしれない。それでも、語の原義はしだいに失われ、語法は広がり移って散漫になってゆくものだからと開き直りたいと思う。
〔参考歌〕
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平
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