第48話 黒い羽根

ふわり浮かんだ黒い羽根は

一面の青の中異彩を放ち

渇いた砂が風に舞い上がるみたいに

軽さの中わずかに痛みを残す


風が止み無重力の魔法が解けて

羽根は地面へと叩きつけられた

薄いガラスが割れるような音を聞き

見ているだけの体は闇に囚われる


粉々に砕け散ったその黒い羽根は

忘れかけていた残酷を振りまいて

ひとときの余韻すら残すことなく

まだ見ぬ世界へと消えた

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