第47話 深夜2時

深夜2時の街は静寂に包まれて

真昼の喧噪はまるで遠い昔のよう

時折響く車やバイクの音だけが

時が流れていることを思い出させる


ここに命があるのを忘れるほど

静けさは体内に浸食し始め

どうしても断ち切れない呪いみたいに

行き場のない熱は闇へと解かれた


抗えない体が夜の奥深くへと

ズブズブと沈もうとするけれど

意識の途切れる寸前目の端に

捉えたのは雲間から覗く月


白い光は砕かれた激情を

真綿のようにふんわりと包み込み

まるで宝物をしまい込むかのように

その手の中にやさしく納めて


この光があるならと微笑んで

流されるままにまぶたを閉じれば

もう境目も分からない夜が連れてきた

闇が体に堕ちてくる




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