空き地

空き地。

それは新たに増えたり、減ったり、何かが建っていたり。


目の前の空き地は確か、物心ついたころから空き家の建っていたところだった。

いつの間にかなくなって空き地になり、看板が立っている。

こうして忘れられてゆくのだろうか。

塾へ行く道の、古びた空き家。 それがとても怖くて、早く取り壊されないかとおもっていたけれど、

――いざなくなってしまうとさびしい気もする。

けれど、

「何ができるのかな。それとも、空き地のままかな。」

誰へ、ともなく呟いたあと、だいぶぎりぎりの時間になっていることに気づいたので、急ぎ足で塾へ向かった。




空き地に何が建っていたか忘れられるように、きっと忘れられてしまうのが日常。

それはただ過ぎ去るだけで、何も残りはしないのだろう。

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空き地 櫻庭 春彦 @dawbrock

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