エンダーの意図
でも私には訳が分からなかった。どうして皆を攻撃しようとすることが私を守ることに繋がるというのだ。
「ユウさん、一体何があったというのですか……。この三日の間に、あなたの心境に何が起こったのですか?」
腹部を抑えながら、氷華ちゃんが声を絞り出してくる。
私も彼女と同意見だ。
「……三日前、隕石を破壊した俺は、その爆風に巻き込まれて宇宙に投げ出された」
ユウは語りだす。
「さすがの俺も、ダメかと思った。だが俺を救った奴がいた」
「……っ」
「目覚めたか」
「お前は……」
「まさかあの爆発で生きているとは、貴様本当に人間か? 本当は宇宙人ではないのか?」
「その声、聞き覚えがある。……思い出した、DCに送られてきたビデオに録音された声だ。お前がマーザか」
「初めまして、と言うべきか」
「……」
「そう身構えるでない。今は貴様と戦うつもりはない」
「……ここはどこだ」
「宇宙にある星の使徒本部。貴様達の言葉で言うのであれば、エンダー星とでも言うべきか。もっとも惑星ではなく、宇宙を移動する巨大な要塞と言った方が正しいがな」
「何故俺を助けた」
「貴様には我々に協力してもらおうと思ってな」
「協力だと? くだらんな、お前達はやつでの敵だ。協力するはずがなかろう」
「確かに、我らは人類から見れば、平和を脅かす敵だ。だが、もっと広い、宇宙レベルの視野で見れば、話は変わる」
「どういう意味だ?」
「そもそも、貴様は何故、我々は恐竜を滅ぼしたかと思う?」
「知らん」
「では教えよう。我々は――」
「マーザは俺にこう言った。『我々は地球を守るために、恐竜を滅ぼした』とな」
私達はユウの言葉に驚愕した。
エンダー達侵略者が、地球を守った?
訳が分からなかった。
「マーザ曰く、恐竜達の文明は、今の人類のものよりも遥かに進んでいたらしい。だが、進んだ文明は、地球の環境を壊し始めた。奴が言うには、環境問題は現代よりも深刻だったらしい」
ユウは話した。
恐竜達は進んだ文明のおかげで、快適に暮らしていたらしい。
だが、生活は快適でも環境は最悪だった。オゾンホールは今よりも大きく、恐竜のいない土地の植物は枯れ、見るに堪えない状況だったという。
「だから、エンダー達は地球環境が完全に壊れる前に、恐竜を滅ぼしたのだ。その文明も跡形も残さずな。もっとも、一匹だけ生き残りがいたがな」
ディーノ社長のことだ。
「そして今、人類が、同じ歴史が繰り返そうとしている。地球の危機を感じたエンダー達は、人類を抹殺する使者を地球に送り込んだ。だが、地球には邪魔する者がいた」
邪魔者、私達、アビリティリングの能力者のことだ。
「マーザは何人もの使者を送り込んだ。だが俺達が全員倒してしまった。そこでマーザは作戦を変えた」
「作戦を変えた?」
「マーザは俺に提案した。もし俺が自分達の仲間になるというのであれば、俺がやつでを除く人類を滅ぼせば、やつでだけは生かし、エンダー星に迎え入れる、不自由の無い生活を約束するとな」
私はその言葉に驚愕した。
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