毒と隕石
「空くん!?」
「大丈夫ですか?」
女子二人で空くんに駆け寄る。
「……身体、が」
呼吸はしているけど、声がおぼつかない。彼の手も少し痙攣している。
その時だった。
「うぅ……」
今度は氷華ちゃんが倒れた。
「氷華ちゃん!」
「か、身体が、動き、ません、わ」
氷華ちゃんの声にも覇気がない。
私はその瞬間、嗅覚に妙な違和感を覚えた。
「この臭い……!! やつで、息を止めろ!」
「え、そんなこと言ったって」
止められるわけがない。
そう思った時だった。
足に力が入らなくなり、膝から崩れ落ちた。
「フフフ、どうやら私達の勝ちのようですね」
「きさま!」
「フフフ。私の能力は毒ガス。このガスは空気より重い……この場所を選んで正解でした。わざわざ湖の水を蒸発させた甲斐がありましたよ」
そうか。私達を枯れた湖の底におびき寄せ、そこにガスを充満させて仕留める。私達は敵の作戦にまんまと嵌ってしまったんだ。
痺れが身体全体に回り、動くことができない。
「ただ、私のガスは生物の運動神経に作用し、動きを止めることしかできない。つまり、私の能力だけではあなた達を殺せません。でもご安心をあなた達には素敵なプレゼントを用意しています。……空をご覧ください」
私は何とか首を動かして、上を見る。
太陽の隣に、何か白い点が見えた。
「さっきから私の隣で喋らずにいる男、彼の能力は隕石を引き寄せます。宇宙に待機させておいたあの隕石で、この島諸共、あなた達を消してあげます」
あの隕石がどれほどの大きさかは見ただけでは分からない。でも島ごと、ということはかなりの大きさのはずだ。
まずい。早く何とかしないと。
「さて、私達はそろそろ失礼しましょう。あなた方と心中なんて御免ですからね」
そう言って二人のエンダーは立ち去ろうとする。
でもそれをさせない者が、いる。
「来い、『吸収解砲』」
ユウだ。
ユウがリングを発動し、新たな武器を呼び出す。
吸収解砲。私が考え、絵にした、右腕に装着される巨大な大砲のような武器。
その特徴は……。
「吸収」
まず、近くにある物を掃除機のように何でも吸い込む。今吸い込んでいるのは空気、枯れた湖に溜まった毒素を含んだ空気。
「解放!」
そして吸い込んだ物を一気に放出する。溜め込み圧縮され一気に放出された空気は、一種の爆弾となる。ユウは敵に発射口を向けて、空気砲を発射する。
「ぐわぁああああ!」
毒素を含んだ空気砲を浴び、エンダー二人はその場にうずくまる。
「馬鹿、な……! 私のガスで、動けな、くなるはず、なのに!!」
「……どうやら、お前の毒は俺には効かないらしい」
湖の底から脱出し、ユウは敵二人に近づく。吸収解砲を絵に戻し、代わりに刀爆を呼び出した。
そして、二人のエンダーを燃える剣で叩き切った。
エンダー達は切り口から発火し、灰になって消えた
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