第4章 発動、妄想創造

空からの乱入者

『赤コーナー! 煌めく髪で戦いの神をも魅了! 鈴木命子!!』 


対戦相手が私より先に入場する。 


 私はこの少女に見覚えがあった。 

 この前、学校でダイヤモンドマンと戦った、髪を操る鈴木さんだ。……命子って名前だったんだ。


『青コーナー! これは偶然か、はたまた宿命なのか! 鈴木選手と同じクラスメイト、凩やつで!!』


 私も会場に入場する。沸きあがる歓声が耳から脳に響く。真夏の日差しのせいなのか、観客のボルテージの影響か、はたまたさっきの車田くんの熱気が残っているのか、会場はとても暑い。心臓がバクバクする。深呼吸をして、心を落ち着けさせる。 


 私は鈴木さんと握手を交わす。


「まさか、同じクラスの人と戦うことになるなんてね」 


 鈴木さんが小さく笑う。私もびっくりだ、まさか鈴木さんと戦うことになるなんて。でもこれは私にとって好都合な対戦カードだ。私は彼女の能力を知っている。でも彼女は私の能力を知らない。


「(鈴木さんの能力は伸縮自在の髪。だったらここは『刀爆』が有効ね)」 


 そんなことを考えながら、私は定位置につく。


『(それでは異空間フィールド展――あ、あれはなんだ!?)』 


 アビリティリングを使って、異空間フィールドを展開しようとした。その時だった。 


 レフリーが空を指差している。 

 私も観客達も、彼が指し示す方を見る。 


 隕石だ。 

 隕石が落ちてくる。 

 しかも、この会場に向かって。 


 そして試合会場に、ちょうど私と鈴木さんの間に落下した。 


 凄まじい衝撃で、私は後ろに飛ばされた。 


 会場に、白煙が充満する。やがて煙が晴れると、そこには……。


「……」 


 一人の人間が立っていた。中性的な顔をしているので男か女なのか分からない。


「ちょ、ちょっと!!」 


 鈴木さんが怒声を発しながら、その人間に近づいていく。


「アンタなんなの!? 大事な試合の邪魔しないでよ!!」 


 彼女はかなり怒っていた。試合を中断されたのがお気に召さないらしい。


「……」

「ちょっと、聞いてるの――」

「うるさい人間」 


 その瞬間だった。 


 鈴木さんの頭が飛んだ。 

 頭だけが、空を飛んだ。彼女の身体を離れて。

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