4時限目、体力測定

 ニ、三時限の数学と現代文は何の問題なく過ごすことができ、現在四時間目。

 今日のこの時間は体育だ。他の生徒は「昼飯前に体育なんて、腹減る」と愚痴をこぼしているが、俺は楽しみだ。

 なんたって、俺にとっては初めての体育だ。

 入れ替われるようになる前は、自由に身体を動かせなかったから、体育を受けている史郎が羨ましかった。


 もちろん、史郎と五感は共有してるから、ランニングで足を動かす感覚も脇腹の痛みも感じていた。だが史郎ははっきり言って運動音痴だから、俺は非常にもどかしかった。俺も思いっきり身体を動かしたいとずっと思っていた。

 まさかその願いが叶う日が来るとはな。驚きだぜ。


「あー今日は体力測定を行う。まずは五十メートル走から始めるから番号順に並べ。体育委員は先生と一緒に準備を手伝ってくれ」


 体育教師の岡部に命令され、全員指定の位置につく。


「(どうせならサッカーとか野球とか、スポーツがしたかったぜ)」


 俺は心の愚痴をこぼす。


 体力測定か。正直、自分の超人的な運動能力がどれほどのものか調べたいところだが、そんなことをしたら史郎に怒られてしまう。自分の力の測定はまた今度、史郎と一緒にやるか。

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