クロちゃん、初めての通学
「(それじゃあ、僕は寝るから後はよろしく。何かあったら起こしてね)」
「おう、大船に乗った気でいろよ!」
メガネを外して、史郎と交代した俺はドーンと胸を張る。
「それよりも、約束の三日間三食肉の約束、忘れんなよ?」
「(もちろん忘れてないよ。それよりもクロちゃん)」
「(なんだ?)」
「(いい? クロちゃんの運動神経は普通の高校生の能力を遥かに超えている。なるべく、その力を抑えてよね。あとで僕が困るんだから)」
「(分かってるよ。俺だってなるべく目立つのは控えたい。ボロが出ると面倒だしな)」
「(なら、いいんだけど……ふぁあ~)」
史郎が大きなあくびをする。
「(じゃあ、おやすみ……)」
史郎が頭の中で寝息を立てながら眠った。
三食、肉かー。何作って貰うかな。やっぱステーキは外せないよな、なにせ肉料理の王様だし。しゃぶしゃぶも捨てがたいな。あ、俺アレ食いてえな! アニメとかに出てくる骨付き肉、通称マンガ肉。一度でいいから食ってみたかったんだよなあ。なのに史郎のやつ、魚とか野菜ばっか食いやがって。ったく、味覚共有してるこっちの身にもなれってんだ。
「っと、そろそろ行かねえとな」
俺はいつも史郎が歩いている通学路を辿った。
史郎の視覚を通してではなく、自分自身で見る通学路ってのは新鮮だった。いつもの景色が違って見えてくる。
「おっはよー、史郎っち!」
後ろから史郎のあだ名を呼ぶ声が聞こえる。あ、今は俺が史郎か。この元気な声の主は、あいつに違いない。俺は振り返り、そいつに挨拶する。
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