アンタッチャブル

八幡の抜けたボンバーズは優勝から脱落したかに思えたが、八幡が抜けた分、オレがやらねば!と選手達が奮起しゴールデンズに勝ち越す事が出来た。


ヤンキースは八幡が加わり、ガンズを全く寄せ付けずに三連勝し勢いに乗る。


優勝争いから脱落したのはゴールデンズで、早くも来季の監督交代の話まで持ち上がった。


スポーツ紙では、浅野はFA取得の権利を得て来年はメジャーへ挑戦という見出しまで載るようになった。



歯車が狂い始めたゴールデンズ、球界の盟主とうたわれたチームの巻き返しはあるのだろうか。



そしてエンペラーズは今日から山口県のISHINフィールドで長州レボリューションズとの三連戦を行う。


レボリューションズの先発はベテランの楠木、エンペラーズは榊。


日本で一番天然芝の綺麗な球場と言われるISHINフィールドは希崎がエンペラーズへトレードされて初の対戦という事もあり、満員の観客で埋め尽くされた。



陽が沈みかけた夕暮れ時、主審の手が上がり試合がスタートした。



楠木はベテランらしい老獪なピッチングで三者凡退に斬ってとる。


対する榊はストレートを主体に三振を奪うピッチングで早くも2奪三振という好スタートだ。



試合が動いたのは6回の裏のレボリューションズの攻撃、打順は9番ピッチャーの楠木がレフトスタンドに運ぶソロホームランを放つ。


ピッチャーにホームランを打たれたとあって榊はマウンド上で悔しがり、グラブを叩きつけた。


その後、レボリューションズは小刻みな投手リレーでエンペラーズを完封。


初戦は1対0でレボリューションズが逃げ切った。



二戦目はエンペラーズの高峰がレボリューションズ打線を1失点に抑え完投。

ハーラー単独の14勝を上げた。


打線は三回に中田のツーランホームランで先制し、6回はトーマスJr.と高梨のタイムリーで追加点を上げ、八回には櫻井の20号ソロでだめ押ししたエンペラーズが5対1で勝利を上げた。

希崎の登板はこの日も無かった。


そして三戦目はローテーションの谷間という事もあり、ベテランのサイドスロー、齊藤が先発。エンペラーズは二回に松浦のソロアーチで先制し四回に織田のツーランホームランで2点を失うが、五回に齊藤自ら2点タイムリーを上げた。


齊藤は六回を被安打3

失点2

3奪三振、無四球という内容でマウンドを降りた。そして七回からエースナンバーを付けた希崎がエンペラーズに移籍して初のマウンドに立った。

キャッチャーも木下から一条に変わり、ソフトボール用の大きなキャッチャーミットで希崎の球を受ける。

レボリューションズの攻撃は6番の羽生田。

「おい、小僧、オメーみたいなひよっ子があの姉ちゃんの球受けるのか?まぁオレが塁に出たら、走ってやるからせいぜい球逸らさないようにしろよ」

羽生田は打席で一条を冷やかす。

こんなルーキーにあの女のナックルなんか捕れるワケがない、と。

一条はただ黙って希崎の球を受けていた。


投球練習が終わり、希崎は一条のサインに頷く。


第一球は119㎞のストレート。

初球はナックルでくるだろうという羽生田の裏をかいた。

「羽生田さん、次ナックル投げましょうか?」

ルーキーも負けてない。

「テメー、随分と生意気な口たたくじゃねえか、じゃあナックル投げてみろや、コラァ!」

羽生田はルーキーにコケにされ、怒り心頭だ。


そして2球目は予告通りナックルを投げた。

羽生田は辛うじてバットに当てたが、力の無い打球は三塁線を切れるファール。

「あれ?今ナックル投げましたよ。遠慮してんですか、羽生田さん?」

度胸があるというか、恐いもの知らずというか、一条は物怖じしない。


「このクソガキがぁっ!」


冷静さを欠いた羽生田にストライクを投げる必要はない。

3球目はストライクからボールになる縦に割れるカーブで空振りの三振に打ち取った。


「ったく、口だけだな、あのオッサンは」

ベンチへすごすごと戻る羽生田の背中を見て一条は毒づいた。


希崎は7番山田をナックルでセカンドゴロ、8番金子をストレートでレフトフライに打ち取りマウンドを降りた。


八回はグリフィズが三者凡退に打ち取り、九回は守護神土方が三者連続三振で試合を締めくくった。


ラスト3イニングを勝利の方程式で逃げ切り、エンペラーズは首位をキープした。











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