入札権を争う

初戦を落としたエンペラーズ。


というか、いきなり佐久間が榊をノックアウトしただけなのだが…


こういう場合は退場にならないのだろうか。



二戦目、ヤマオカはミーティングでホワイトボードにヤンキースの守備陣営を書き、

ファーストの守山を指し

「Kill!!(殺れ!)」と首をかっ切るポーズをしてミーティングを終えた。


先発はエンペラーズが小倉、ヤンキースは左腕の山本だ。



そして球場のバックネット上部にあるVIPルームではもう1つの戦いが行われようとしていた。


上半身裸で黙々とヒンズースクワットをアップする阿佐が誰かを待ち構えているようだ。


そこへキャバクラ嬢と中国エステのマッサージ嬢を脇に従え金の雨を降らせながら登場したのはヤンキースオーナーの塗呂だった。



「今日こそ決着つけてやるぬ!」


「ブヒャヒャヒャヒャ」


この二人、とある選手を獲得する為に、戦いで決着をつけようという方法をとった。


それは両チームのスカウトが注目した選手、メジャーリーグ ミルウォーキー ブルズのエースで100マイル(約160㎞)を投げる豪腕、レニー・ランドルフ投手の獲得権を巡っての一戦だ。


ルールはギブアップまたはKOで決着をつける時間無制限の勝負。


互いの両手にはオープンフィンガーグローブがはめられている。



阿佐が勝てばランドルフ獲得の権利を得る。


塗呂が勝てば権利を得る。


プレイボールと同時に二人の戦いが始まった。


塗呂はレフェリーに中立の立場である北九州ガンズのGM魔羅先をいきなり引っ張り倒した。

そして倒れた魔羅先を踏み台にしてシャイニングウィザードを一閃。


顔面に膝を食らった阿佐はダウン。


塗呂が襲いかかる。

容赦なくマウントからのパンチのラッシュを仕掛ける。


阿佐はガードを固め防戦一方だ。

そして一瞬の隙をついて足を絡ませ三角締めに持ち込んだ。


塗呂の顔が紅潮していく。


ガッチリと極ったが、塗呂が足を噛みつき脱出。


この日のために阿佐はトーマスと榊相手に地獄のスパーリングをこなしてきた。


対する塗呂も、守山やヤンキーナイン相手に血の滲むような特訓をしてきた。


両者スタンドの状態で試合再開。


阿佐はローキックでジワジワと足を狙ってきた。


塗呂は上手くディフェンスし、カウンターでパンチを合わせてくる。


そしてお互いもつれ合い塗呂が背後に回りチョークスリーパーを仕掛けた。


すぐさま身体を沈めオーバーヘッドキックの要領で塗呂の頭部を蹴る。


技が外れ阿佐が低空タックルで塗呂をテイクダウンさせた。


足を獲りアキレス腱固めで締め上げる。


苦悶の表情を浮かべる塗呂。

ただしギブアップはしない。


更に阿佐が締め上げる。


塗呂は負けずに阿佐の足をキャッチし踵を抱えるようにヒールホールドを極めた。


「うぎゃ~っ!」


互いに足の関節を極めながらガマン大会を繰り広げた。


膠着状態になり試合はスタンドで再開。


またもローキックで攻める阿佐、塗呂はパンチのコンビネーションで応戦する。



塗呂が阿佐の首根っこを捕らえジャンピングDDTで脳天を突き刺す。


すぐさま阿佐が立ち上がりパワーボムで返す。


フラフラになりながら両者はラリアット、ドロップキック、延髄斬りを繰り出すがどれも決定打にならず。


すると秘書が勢いよく部屋に入ってきて

「オーナー!大変です!ランドルフがゴールデンズとの契約が合意に達した様子ですっ!」


「にゃんと!」


「にゃにっ!」


それを聞いた途端、両者ダウン。


結局ダブルノックアウトで引き分けとなり、ランドルフは来季ゴールデンズの一員となる事が決まった。



そして試合は守山を狙いにファースト方向にバントやバスターで攻め立てるが、終盤に疲れの見えた小倉は陳に右中間に決勝アーチを打たれた。


例により

「またテメーか、学習能力のねぇヤツだな!」


「土下座して謝れ、コラッ!」


「Fuck you!!(このクソヤローめっ!!)」


「今日こそ残りの毛、全部剃れ!」


「使えねぇハゲだなテメーは!」


「このバカ!」


「駿河湾に沈めるぞ、オラッ!」


といつものように罵声を浴びせられオーロラビジョンには

【おヅラ皆に謝れ!】


という文字が浮かび上がり、

またもや号泣しながらマウンドを降りた。


そしてこの決勝点を投手リレーで守りきりヤンキースが連勝。


ついに単独首位に躍り出た。




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