18話 絶対に寝返ってはいけない24時

 夕飯を食べた後にジャンケンをして、ハクトはエルと寝ることになった。いろいろと小柄なエルならば一つのベッドで寝てもぶつからずに済みそうだ。

 昼間はワイシャツ一枚という奇抜な格好のエルだが、夜は流石に根木が用意したパジャマの色違いを着ている。美鈴たっての要望で、電気は一番小さい明かりと廊下の電気は残して寝ることになっている。

 今日は下の布団に寝ることになった琴里がつま先立ちで電気のスイッチを押しに行った。地下であるこの居住スペースは電気を切った瞬間に正真正銘の真っ暗闇になる。豆粒のようなオレンジ色の電気が申し訳程度に灯っているだけである。

 こうして五人が一緒に寝るというのはなんだかいささか修学旅行のような気持ちになってくる。まあ、修学旅行であれば男女別なのだが。

 ハクトはエルを変に意識しないように、エルに背を向けて寝ていた。寝返りをうちたくてもある程度は我慢した。それでも眠気というものは襲ってくるもので、意識はどんどん遠のいていく。

 しかし、背を向けて寝たのは失敗だった。仰向けから右へ寝返るのと、左へ向いてたのが右へ寝返るのとでは、移動距離に差が生じるのは明らかなことであった。

 すっかり向こう側の世界へ旅立ってしまったハクトが寝返りを抑制出来るわけもなく、無情にも身体はごくごく自然に転がり回る。

 翌日どうなっていたかは、皆さんのご想像通りなのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る