天誅 4
「違うの・・・、聞いておじさん。
写真は本物よ・・・・、あれに写ってるのは正真正銘アタシ自身。
無差別に人間を殺していったのは、・・・・アタシ。
でも!それは違うのよ!
本当は人を傷つけるなんて嫌なのに、女王に無理やりやらされてるの。
やらなくちゃ、家族を皆殺しにするって脅されて・・・・」
俯くと、右手で目付近を押える。
涙なんてもう流れないんだけど、こうした方が信頼度が上がるじゃない。
「だからと言って、殺す必要はないじゃないか!殺した振りをすれば・・・」
「アタシには四六時中監視が付いてるの!
ズルなんてしたら、すぐにバレちゃうわ!
そうしたら・・・・、ママが・・・・」
ウッ・・・・ヒック・・・・・。
嗚咽だけが響く。
さっきのママの真似。
こうした方が、本当っぽいでしょ?
足音は止んでいた。
おじさん達はこちらへ歩いてくるのを止め、その場で立ち止まり、困惑した顔でこちらを見ている。
さては、アタシの言葉を信じたんだ?
・・・・・バカね。
っていうか、おっさん達はアタシの事を、
根性が腐ってる 平気で嘘を付く なんて、暴言を吐きやがったけど、まんまと騙される方だって悪いじゃない!
自分の立場を有利に進める為、嘘をついて何が悪いの?
アタシだけじゃない!皆、自分の立場を守る為に、平気で嘘を付く!
それのどこが、ダメなの?
なんで、根性が腐ってるって言うの?
そうしなくちゃ、いっきに自分の立場は上流から下流に落っこちる!
人を蹴落とし、利用した者だけが、一生上流に居られる!
だからアタシは、上流に居る為、自分のプライドを守る為、他人を蹴落とし上へ駆け上がる!
「そっか・・・・、何も知らず悪い事をしたなぁ・・・」
「待て、さっきの言葉を信じるのか?
また嘘を付き、俺たちを油断させようとしてるのかも知れないぞ!」
チッ。
軽く騙せ切ったかと思えば、まだ信じてない奴も居るみたい。
もう一押しね。
「本当よ!見て、この右手!・・・指がないの。
モニターの映像を見たでしょ?
・・・アタシがイジメをしたって話・・・、アレも全部嘘なの!
本当は誰もイジメてない!
勝手に話を丁稚上げて、指を切断されたのよ!」
右手に巻かれている包帯の端を唇で挟むと、それをクルクル取る。
全ての包帯を取り除いた時、指のない右手が現れた。
アタシも久しぶりに見た。
指のない右手。
相変らず、傷口は塞がっておらず、すっぱり切られた断面から骨と肉が見えている。
痛々しい傷。
アタシはその右手を、近所の奴らに見せつけた。
これが証拠だ!って事を証明する為に。
それは、どうやら効果覿面だったみたいで、
傷口を見せた途端、奴らは顔を歪ませ、ざわついた。
「本当に指がない」
「痛そう」
「可哀相に」
いっきに、アタシに同情する声が集まる。
人の心をぐらつかせるなんて、簡単ね。
このスキに殺してしまおう。
一歩あちらへと、足を進めた時、
「なら、何故ミカちゃんは自殺未遂をしたの?
イジメた事に耐え切れずやったって、私は聞いたわ!」
まだ疑ってる奴が、質問を投げつけてきた。
・・・傷口を見せてやったって言うのに、まだ信じないなんてめんどくせぇ。
「自殺したのは・・・・・、アタシがイジメられてたからよ!
亮が・・・・・りょうが首謀者になって、アタシの事をイジメたの!
それが辛くて、アタシは首を吊った!
アタシは悪くない。いつも・・・・被害者・・・うわああああああああん」
右手でまた顔を抑えると、その場に崩れ落ち、声を上げて泣いた振りをする。
指の隙間から奴らを確認すると、全員困った顔をしていた。
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