死ぬと生きる 12

何人討伐した?

そんな事を聞かれても、本当の事は言えない。

だって、決められた数以上の人間を、殺したのだから。

そもそも、今日討伐しなくてはならない人間が何人居たのか?すら知らない。

予め用意してあった資料は、読む前に燃やすよう指示を出したし。

それに、今日あの学校に居た人間全て生きてはいないー・・・。



「え?あ・・・う~ん、4人くらいだったかな?」


適当に答える。

今まで涼と回っていた時の人数が、それくらいだったから。

だからなんとなくそう答えた。



「そうですか・・・、4人ですか。

それにしては、凄い返り血ですね。

とても4人しか殺したようには見えない」


そう言い、チラっと係員は校舎の方向を見る。

つられてアタシも同じ方向を見ると、ガラス一面に血が飛び散っていた。




・・・・何かを、悟られた?




「あの!凄い抵抗されちゃって、大変だったんだから!

だからこんなに血を浴びたし、ガラスも血まみれになったのよ!

ほら!運転手!早く車を出しなさい!疲れてるの!」


焦ったアタシは必死に弁解すると、運転手が座る座席をガンガン蹴った。

すると、運転手は一瞬驚き、アタフタしながら車を発進させる。




「そうですか、それは大変でしたね。

早くホテルへと戻り、ゆっくり休んで下さい」



係員は咄嗟についた嘘を疑う事なく、信じたらしく、

いつもと同じ、気持ち悪い笑顔で微笑んでいる。



「・・あはっ・・・・」


つられてアタシも引きつりながら、笑う。



嘘が通じた?

・・・・バレなかった。

良かった・・・・。


そうよ、バレるはずないわ。

あんな気持ち悪い笑顔を浮かべるだけの男に、バレてたまるもんですか!

節穴の目を持つ男を騙すなんて、チョロイわね。




ホテルに到着、どうどうとロビーを練り歩く。

全身にベッタリ血を浴びたアタシの姿を見て、何も知らない他の客達は怪訝な顔をしてこちらを見ていたけど、無視。

そんなのイチイチ気にしてられないのよ。


部屋に入ると、すぐにシャワーを浴びた。

いつ強烈な睡魔に襲われるか?わからないから、一番初めに洗い流して起きたかったの。

いつもなら、部屋に入ってすぐに寝落ちする所が、今日の所は無事に汚れを洗い流し、

部屋着を着用しベッドに横になると同時に意識が途切れた。


・・・・良かった、今日はシャワーを無事に浴びる事が出来た。

そんな些細な事を、嬉しく思えた。


・・・・行く宛が何処にもない。

どの教室も、今は授業中。

隠れる場所が無かった。



このまま帰ってしまおうか?とも考えたけれど、カバンを教室に忘れてきたから、それを取るまで帰れない。

なら、今カバンを取りに行く?

そんなの絶対に嫌!

クラスの連中の顔なんて、2度と見たくない!


なら屋上でやり過ごすなんてどう?

・・・それは無理。

どんな奴がたむろってるかもわからず、一人で突入なんて出来ない。


じゃあ図書室は?

あそこなら本がいっぱいあるし、暇を潰せる。

あ~・・・・無理無理!

図書室なんて、キモイ奴らが行く場所で、そこに居る所を見られてダサイって思われるのは絶対に無理!




あ・・・そうだ。

あそこに行けばいい。


踵をクルっと回転させると、アタシはその場所を目指して歩き始める。

上流階級のアタシが授業に出ずに居ても大丈夫な場所。

それは、保健室だと思ったから。


そこに行けばゆっくり休める上に、先生にアタシがイジメられてる事を話せる。

そうすれば、保健の先生から担任に話が回るだろうし、

担任の耳に入れば、クラスの連中は怒られるに決まってる!


主犯は勿論亮で決まり!

アイツは、アタシの事を振った上に、ハブにするよう指示しときながら、しらばっくれてるという最低男。

許せるはずがない。




保健室へ辿り着くと、勢いよく扉を開いた。

室内を見渡すが、他に休んでいる生徒は一人も居ない。


ラッキー・・・貸切じゃん。

思わず、口元が緩んでしまう。



「あら、どうしたの?具合が悪いの?」


そんなアタシの顔を見て、不思議そうに首を傾げながらも、先生は優しく出迎えてくれる。

これから起るであろう出来事が、面白くて、ニヤけてしまうが、それを必死に堪えながら、



「先生・・・・、アタシイジメられてるの!・・・」


勝手に開いているベッドに、ドカっと座り込んだ。

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