第69話目の前に居る者 4

目を開けると、真っ白な天井が視界に入った。

この天井、見た事がある。


周囲を見渡すと、すぐ隣には看護師さんが居て、



「目が覚めたみたいね。今、真鍋さんを呼んでくるから」


ニッコリ微笑むと、何処かへ歩いていった。



左上には、点滴がぶら下がっている。

そうだ。

俺はこの場所を知っている。

ここは・・・・、漆黒の翼を装着されてから、しばらく世話になった、病院だ。


俺、どうなったんだ?


ゆっくり手を動かしてみると・・・・・・動いた!

身体は、動くみたいだ!


布団をまくり、身体を起こす。

上半身は、キチンと動くとして・・・・。



あ!そういえば、打たれた足はどうなったのだろう?


布団を完全にはがし、足を確認すると、打たれた右足は包帯でぐるぐる巻きにされてあった。

しかし、不思議な事に痛みはない。



意識が無くなる前は、激痛が走ったのに、どういう事なんだ?

もしかして、 痛み という物さえ、漆黒の翼に吸収されてしまったのだろうか?



アレコレ考えていると、



「あ、目が覚めた?もー、びっくりさせないでよ~!」


真鍋さんの声が聞こえたと同時に、真鍋さんの顔がヒョコっと出現した。

撃たれたっていうのに、相変らずのハイテンションだ。



「あの・・・」


聞きたい事は、いくつかある。

っていうのに、上手く言葉にならない。


モゴモゴしていると、



「あぁ、怪我の事?それなら大丈夫よ。

薬を投与したから、1週間くらい寝てたら、良くなるわ」



微笑む、真鍋さん。


薬?

新しい言葉。

また、疑問が1つ増えた。


「もー、無茶しちゃダメよ~!

いくら、ミカが憎いからって、あんな目立つ所で殺そうとしちゃダメ!」


そう言いながら、額にデコピンをする真鍋さんに、俺はとても驚いていた。


同じ漆黒の翼を操るミカに、危害を加えようとしたのに、なんだこの軽いノリは?!

もっと、罰とかあるんじゃないの?普通は・・・。



「あの・・・・、俺に罰とかはないんですか?」


ミカに危害を加えようとした罪。

普通なら、障害未遂くらいに当たるハズ。

それを聞いたつもりだったんだけど・・・・・、



「え?ないわよ。どうして、涼が罰を受けなくちゃいけないの?」


逆に聞き返された。



「だって、俺。ミカを殺そうとしました・・・。

足を撃たれていなければ、今頃俺は、ミカを・・・・・」


間違いなく殺していた。

それなのに、



「だから、それが何?

もう、私ビックリしたんだから!

涼が足撃たれたって聞いて!」



サラっと流された。

なんなんだ?ミカの扱いって。

女王様といい、真鍋さんといい、ミカに対して異常な程冷たい。

なんか、人間扱いしていないように見える。



「ラッキーだったわね!私に感謝してちょうだい!


本来なら、栄養を全て漆黒の翼に吸収されてしまうから、

足を撃たれた時点で、切断しなくちゃいけないんだけど」



その言葉を聞き、ゾクっとした。

そういえば、漆黒の翼が埋め込まれてから、怪我っていう怪我なんて、

1度もした事がなかったからわからなかったけれど、知らない間に、そんな身体になっていたなんて、驚きだ。



「丁度、新しい薬が完成して、それを投与したの。

その薬って、普通の人間に投与したら、すぐに死んじゃうんだけど、

漆黒の翼が埋め込まれた人間に投与すると、あっという間に傷は完治するのよ。

涼の足も、もう完治してると思うけど、念の為、経過を調べたいから1週間入院してちょうだいね」



マジか・・・。

っていうか、そんな強い薬、身体に投与されて副作用なんて物がないのだろうか?

不安だ。

なんか、人体実験されてる気分。

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