第68話目の前に居る者 3

目の前にいる、モンスターとしばらく見つめ合ったまま、どの位の時間が過ぎただろう・・・?



「・・・・ぐっあっ・・・・」


それは、一瞬の出来事だった。

モンスターの頭が真っ二つに割れたと同時に、聞こえた叫び声。

そして、モンスターからあふれ出た血が、俺にベッタリと飛んでくる。




「何、ボサっと立ってんのよ。こんなクソガキを見つめる暇あったら、さっさと手動かして!」


ミカだ。

ミカが、ヌンチャクでモンスターの頭を叩き割ったのだ。


不機嫌そうな顔をしながら、ミカは次々とモンスター達を手当たり次第に討伐していく。


パラパラと、枯葉のように、散っていくモンスター達。

死んでいく。

弱者達が・・・・。

俺の生き写し。

やっぱり、俺達弱者は、死ぬしか、道がないの・・・・か・・・・?


コロサレル。

ミカに。

人の気持ちなんて考えない、自己中な女が、俺の仲間達を殺していく・・・・。

そんなの嫌だ!

こんな奴に殺されるなんて、絶対に嫌だ!!





「おい、待てよ。人殺し」


ミカに声をかけた。



「はぁ?何言ってんの?」


俺の言葉が、感に障ったらしく、こちらを睨みつけている。



「この子、クソガキじゃねぇよ」


もう屍となったモンスターの顔を、左手で優しく撫でる。

温かい。

そりゃそうだ。

さっきまで、生きていたのだから。



「え?何?どうしたの?とうとう、気でも狂った?」


そんな俺の行動を、引きつった顔で見つめるミカ。

いつもそうだ。

お前達は、俺達を見下した目でいつも見ている。

理由もなく。


「俺達はお前等のせいで、いつも死と隣り合わせ」


「え?何言ってんの?俺達って誰?」


ゆっくり立ち上がると、漆黒の翼に意識を集中する。



「結局、死ななくちゃいけないんだ、俺達は。

生きていても、生きる為に犯した罪で、死刑。

そんなの不公平だ」


いつもより、剣を長めにした。

そうしないと、 目標とする物 に当たらないかも知れないから。

そして、前を向くと、歩き始める。

目標とする物 ミカ の方向へと。




「ちょっと、ウソでしょ・・・・?」


引きつった顔をしながら、後ずさりするミカ。



「ウソじゃない。そもそも、お前が漆黒の翼を操るなんて、オカシな話なんだ。

お前に、人を裁く権利なんて、ないハズなのに」



いつもと違う様子に気づいたのか、近くに居た監視役の人間が



「涼!止めなさい!」


必死で叫ぶ。

しかし、俺は止めるつもりはない。


だって、目の前にモンスターが居るのだから。

モンスターの癖に、モンスターを狩るなんて、おかしいだろう?

俺がこの手で、息の根を止めてやるよ!



剣をミカ目掛けて、振り下ろそうとした時、




パンッ。



乾いた銃声の音と、



「うあっ・・・」


右足に、鋭い痛みが走り、ミカを斬る事が出来ないまま、俺はその場に崩れ落ちた。


撃たれた・・・・??

漆黒の翼を操り、最強の人間になった俺が、ただの監視役が放った銃にやられたなんて・・・・。

そんな事・・・・。



その後、口にタオルを当てられ、強制的に意識は途切れた。

最強人間である俺が、人間にやられるなんて・・・・。

ありえ な  い  ・・・・・。

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