第40話混乱 3

しばらく待った後、真鍋は見知らぬ男の子を二人連れてきた。


一人は、カッコよくて、爽やかな感じ。

もう一人は、モサっとした、根暗な子。



「ハヤト!涼!この子が、ミカ。

新しい貴方達の仲間よ。色々教えてあげてね」


真鍋がそう言うと、



「僕はハヤト。よろしくね」


カッコよくて爽やかな方は、微笑みながら手を差し出してきた。

しかし、もう一人の根暗な方は、



「・・・・」


こちらを見て、ニヤっと笑うだけ。

・・・気持ち悪っ・・・・、この子についての第一印象はコレだった。



「ハヤトも涼も、もう少ししたら、戦士デビューする事になるから。

それまで、ミカに色々トレーニングを教えてあげてね。

じゃあ、私はコレで・・・」


真鍋はそう言うと、足早に立ち去っていった。

何をしたらいいのか?わからないアタシは、目の前に立つ、二人を見つめる。




「じゃあ、行こうか。トレーニング施設はこっちだ」


ハヤトと呼ばれた方は、そう言うと、歩き始めた。

しかし、もう一人の根暗、涼はニヤッとした顔のまま、こちらを見ているだけ。

なんなの?コイツ・・・。

ヤバイオーラがプンプンするわ!



「はい!」


涼と二人っきりになりたくなかったアタシは、ハヤトの後を追いかけた。

その後を、涼も付いて来る。



ハヤトは良いけど、涼は最悪。

マジキモイし!


振り返ると、こちらを向いたまま、ニヤっと笑っていた。

何が楽しくて、そんなに笑っているんだか?

意味わかんない!



「ここが、トレーニング施設。

戦士としてデビューするまでの間、ここで体力を付ける事になるから、頑張ろう」


ハヤトはそう言い、微笑んだ。

マジカッコイイ!



「・・・・・途中で根を上げるに決まってる」


後ろで涼が、ボソっとそう囁いた。

本当にこいつ、生理的に無理!


「なんでアンタにそんな事、言われなくちゃいけないのよ!」


後ろを振り返り、涼に向かって怒鳴ると



「え・・だって、真鍋さんが・・・」


ニヤニヤしながら、ボソボソ喋り始めた。

あーーーー!!!はっきりしない奴!!

イライラする!!



「真鍋が何だって?!」


そうアタシが怒鳴ると、



「ごめんね、涼は上手く自分を表現出来ない子なんだ。

悪気はないから、許してやって!」


ハヤトが謝り始めた。

なんでハヤトが謝るの?




「上手く自分を表現出来ないってどういう意味?

っていうか、さっきからニヤニヤ笑ってて、キモイんだけど!」


と、バッサリ言ったにも関わらず、相変らず涼はニヤニヤ笑ったままだ。



「どういう表情をしたらいいのか?わからないから、無難にニコニコ笑っているだけ。

根はいい奴だから」


根はいい奴って・・・・。

さっきも同じ言葉を聞いたな。

なんか、この施設って、曲者揃い?




「そうなんだ~、へぇ~」


ハヤトが一生懸命フォローしたけれど、私、涼になんて興味ないのよね!

私と釣り合いそうなのは・・・・・ハヤトしか居なさそう。



「さて、トレーニングを始めようか! 僕達は別のトレーニングをするから、じゃあまた休憩する時にでも!」


そう言い、二人と別れた私は、ひたすらランニングマシーンを歩いた。

トレーニングと言っても、ひたすら歩くだけなら、超楽じゃん!

病院のベッドの上で寝ているよりも、全然マシね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る