魔法使いと花:前篇

街の外れに、1人の魔法使いが住んでいました

魔法使いは、魔女の弟子だったのですが、主に魔女の

『ああ、人に教えるのめんどくさいわあ』

という、良く言えば放任主義のせいで、魔術の本を読みながら、学んでいきました

数年その状態が続いて、しばらくすると、魔女は

『あんた、もう学ぶことないでしょ

一人立ちしなさい』

と、また唐突に言いだしました

とうとう、自分の場所に人がいること自体、いとわしくなったのかと、魔法使いは思いましたが、

彼は彼で物事を深く考えないたちなので

『はあ、わかりました』

と、素直に魔女から、たびつことになりました

そうして、今は街の外れにある、小さな小屋に住んでいます




さて、魔法を使うには、ホウキでもステッキでも、ようは触媒が必要なのですが、魔法使いは何故か鉢植えを触媒に使っていました

師匠である魔女からも

『なんで、あんた、そんな触媒使ってるのよ』

と、呆れられていましたが、魔法使いは

『はあ』

と、なにを言われたかわからない、といったふうでした

ある日のことです

街の人が、

『大変だあ!!

魔物が現れた!』

と、慌てています

話を聞くとスライム状の魔物があらわれて、困っているということでした

一肌脱いだ彼は、そのスライムを、火の呪文で焼き尽くしました

その次の日

魔法使いが目を覚ますと、花がなくなっていて、鉢植えだけになっていました

彼は

今まで、そんなことはなかったのに

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