第62話イルミネーション

 流石の桜も申し訳なく、居心地を悪く感じました。


 桜が乗っているのは『元カレ』の車。


 それでも桜は賭けに出ました。


 彼はチラシを見ています。


 桜が持ってきた、遠くの町で催されるイルミネーションのチラシです。


 「いいね」


 と、肯定的な言葉をいいます。


 けれど、次に真面目そうな少し怖い声で、


「けれど、これに行くなら結婚する覚悟がなくては無理だよ」


 と言いました。


 桜の見込みは外れていたのでしょうか?


「ちゃんと生涯つき合う覚悟があるなら、これに行く。ないなら、もう会わない。どうする?」


 迷うことはないはずでした。けれど、この人といる時、なぜか桜は罪悪感に包まれます。


 でも、もう後戻りはできませんでした。


「行きます」


「わかった」



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