第58話楽しい日々

 イベントに現れた男の人と、桜はメールをするようになりました。


 二人で歩き、色んな所にも行きます。色んなことを喋ります。


 単純に桜はこの人といることが好きでした。


「私は障害者だけれど、あなたはいいの?」


「障害者でもモテる人はモテるしモテない人はモテないよ。それって差別だからね」


 感動しました。桜はこの人を信頼するようになりました。


 けれど、楽しい日々は続かないものです。


 この男の人のことを、ある日桜はお母さんに話しました。


 話を聞いて、お母さんは暗い顔をします。


「その人、おかしいんじゃない?」


 お母さんには桜に見えないものが、見えたとでも言うんでしょうか。


「病院に行けって、母が言うのよ」


 電話で、桜は本人に直接伝えました。まったく、お母さんたら何を言うんだと思いながら。


「病院は行ったことがあるよ」


 桜の知らない事実でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る