第20話 絶景

「私、ある事に気づきました」そう言ってA子はご主人様をベランダへ案内した。「ご覧下さい」


A子は汐留の高層ビル街方面を指した。


「あの真ん中の隙間」


言われてご主人様は目を凝らす。


「建造中のスカイツリーが見えます」


そこにはビルの裏から顔を出す第1展望台の端が。


「うわ、イラッとする。何あの中途半端な展望」


ご主人様は思わず眉をひそめる。


「それでもあのスカイツリーが見えるんですよ、この部屋から」


A子は嬉しそうに胸を張る。


「いや…流石にこの角度からでは微妙すぎるぞ…」

「しかも驚く事に時々、下から資材を持ち上げるクレーンも顔を出します」

「うわ、嬉しく無eee」

「何が不満なんですか」


A子はご主人様を睨んだ。


「これなら別に見えなくても良いじゃないか。自慢にもならない」

「とんでもない!」


そう言ってA子は今度は西の方角を力一杯指した。


「ここから東京タワーも見えるんですよ!」


その先には、ビルの屋上から顔を出す東京タワーのアンテナの先端があった。

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