第50話 僕といういれもの
このいれものには純粋な気持ちも醜い欲望も
いろんなものがない交ぜになってドロドロ渦巻いてる
僕は知らんぷりを決め込んでそれにフタをかぶせて
よそゆきのすました顔してイイヒトを演じるんだ
誰かをだましていることへの罪悪感とか
上っ面だけの会話をすることへの違和感とか
慣れてしまった僕はとんでもないインチキ野郎だろう
それすら当たり前すぎて目をそらして笑うんだ
いつかこのいれものがドロドロの重みに耐えきれず
ひび割れて隙間から様々な感情がもれ出し
貼り付けた僕のイイヒトの仮面は打ち砕かれて
ぐちゃぐちゃで生々しい人間の姿を晒すとき
向き合う勇気のない僕はただ立ち尽くすだろう
絶望とむなしさの中にまざるかすかな闘志
傍らに咲く薄紅色の花びらを見つめて
せめてこの花に恥じない存在でありたいと願うだろう
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