第二章

 ベッドが置かれたその上に、布団を身体に巻きつけるようにして座り込む友人の姿があった。


「……中、入るよ?」


 言って、慎重な足取りで室内へ入り後ろ手にドアを閉める。


 外からの光が遮断され、一層部屋の中が薄暗くなった。


「……天音、そんな恰好して暑くないの? 風邪ひいてる?」


 湿度が籠っているようで、肌に触れる空気は不快なほどにジメジメしている。


 ぐるりと部屋を見回して、それから壁にあった電気のスイッチに手を伸ばした。


「――点けないで……」


 スイッチへ触れそうになる一瞬手前。蚊の鳴くような掠れた声が耳に届いた。


 反射的に振り返り、友人を見る。


 放置された人形のように俯いていた顔が、こちらを向いていた。


 この薄暗い中で、何故かその両目だけははっきりと認識することができた。


 まどろみ、濁っているようなその瞳からは自分の知る天音の面影は感じられない。


 これではまるで――。

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