第二章

「お邪魔します」


 言って中へ入り、靴を脱ぐ。


 部屋の中は控えめなテレビの音だけが聞こえ、人の気配を感じない。


 たぶん、おじさんは仕事だろう。


 となれば、今は天音とおばさんの二人きりということになるわけだけれど、リビングを覗いた限りでは天音の姿は見当たらなかった。


「天音ね、ここ数日部屋から出てこないのよ。お風呂だって、もう五日くらい入ってないし。食事もほとんど食べてくれなくて。作って部屋に持っていってもせいぜい一口か二口食べたかなっていう程度。あの子、やっぱりどこか悪いのかもしれないわね。重い病気とか患ってたらどうしよう……」


 心配そうに自分の頬へ手をやりながら、おばさんは天音の部屋を見つめてため息を吐く。


「会話はするんですか?」


「……うん、一応ね。でも、ほとんど喋らないかな。頷いたり首を振ったりするだけのことも多いし。本当に、どうしたら良いのか」


「……」

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