第一章
「ありがとう。でも、大丈夫だよ。あたし別に具合悪くないし、あれからだって特に体調崩してたりはしてないよ。ただ、ちょっとだけ寝不足で頭の中がぼーっとしちゃってるみたい」
傍目にもわかるくらいに、無理矢理な笑顔を浮かべる天音。
「大丈夫って……。あの飲まされた石は? どうなったの?」
「あー……、わかんない。何もおかしな感じしないし、気にしなくても平気なのかなって思ってるけど」
言いながら、天音は軽く自分のお腹を擦る。
「……そういう素人判断良くないよ。行こう? 保健室。天音朝からずっと顔色悪いしさ、自覚がないなら尚更心配だし。早退しなくても少し横になっておくだけでも違うと思うよ」
そこまで一気に喋って、私は意味もなく教室を見回しまた天音に視線を戻す。
「私も一緒についていくから。次の授業数学だし、事情話せば
長谷部先生は私たちのクラスの担任でもある。五十代半ばで小柄な、優しいお父さんみたいな先生だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます