第一章

 言っている意味がよくわからない私は、怪訝そうに眉を顰めて訊ねてみる。


 ここに来た本来の目的を、私と天音はまだ聞かされていない。


 だから今朝の時点まではドライブの延長くらいにしか考えていなかったのだけれど、ここに着いてそんな思考は的外れだったと自覚した。


「珠美たちはさ、ここがどんな所かわかってる?」


 逆に問われ、私と天音は不安そうに顔を見合わせてから首を横に振った。


「どんなとこって……、お墓ですよね? ひょっとして心霊スポットですか?」


 ひとまず、思いついたことだけを告げてみる。


「あぁ……うん、まぁ正解っちゃ正解かな。スポットなんて言われるほど有名ではないみたいだけど。てか、知ってる人はあんまり教えたがらないみたいなんだよね。かなりやばいからって」


「え……」


 脅かしたいのか、意地悪な笑みを浮かべて語る瑠璃先輩に、天音がほんの僅かに身を引くのがわかった。


「先輩、それ、幽霊がでるってことですか?」

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