第503話 迷子の暗黒騎士で九尾なのじゃ
【前回のあらすじ】
黒騎士どの、まさかの迷子になる。
「……へっぽこ過ぎない?」
「のじゃぁ。なんか明らかに強キャラっぽい描写しといて、この落差は幾らなんでもあんまりなのじゃ」
「うちのへっぽこ九尾にまでこう言われる辺りでお察しよなぁ」
へっぽこ小説に顔を出すキャラは当然へっぽこ。
類は友を呼ぶ、へっぽこはへっぽこを呼ぶ。
黒騎士もまたその例に漏れないのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「迷子て、あいつ結構いい歳してただろう」
「見た目でだいたい三十超えるか超えやんくらいやな。こっちの世界やったら、主任になってバリバリ仕事任されてるような年齢やん。あかんでせやのに迷子て」
主任云々はよしてくれ。
一応、生業としている仕事でそういう役職に一度もつくことができないまま、今に至る桜くんだったりするのである。
割とその手の話はナイーブ、勘弁してくれフォックスだったりする。
まぁ、人間だから向き不向きはどうしてもあるんだ。
俺には人を差配するような人徳もカリスマもスケジュール調整能力もなかったということなのだろう。
いや、その割にはリーダー職をやらされていた気もしないでもないけれど。
ほんと、なんであんだけ頑張って、役職上げてもらえないのかね。前の会社でも今の会社でも。いや、今の会社は自分で蹴ったからなんともだけれどさ。
「いくつになってもだらしない大人ってのはいる。シュラトもまたそういう奴ってことだろ」
「のじゃのじゃ。三千年生きても、定職にろくにつけないオキツネだってここに居るのじゃ。あんまり言うてやってもかわいそうじゃぞえ、ダイコン太郎」
言いながら少し涙目になる加代。
ここ最近お仕事順調だったって言うのに、辛いことを言わせてしまって申し訳ない。すまんねと心の中で謝りながら俺は続けた。
「なんにしても起きちまったもんは仕方ない。なんとかしてシュラトの居場所を探し出そう。アリエスちゃん、何か手掛かりはないのか」
俺は褐色のダークエルフに問いかける。
しかし、アリエスちゃんは顔を真っ青にして俯くばかりで、とても心当たりがないという感じの視線をこちらに向けてくるのだった。
この様子。
実際、本当に心当たりがないのだろう。
それくらいに、今回のシュラトの失踪にあわてふためいていた。
いったいどこに行ってしまったというのか。シュラト――。
「のじゃ、あ奴がこの街で行きそうな場所に心当たりは?」
「ありません。というか、既に私の方で当たってみましたけれど、まったく見当たりませんでした」
「……マジかァ。付き合いの長いアリエスちゃんでも分かんないとなると、ちょっとヤバいかもしんないな」
「のじゃ。ちとこれは面倒くさいことになってしまったのう」
「シュラトやん。まぁ、腕っぷしは立つから、よっぽど揉め事に巻き込まれても大丈夫やとは思うけれど。なんや気味の悪い話やなぁ」
腕っぷしの立つ剣士が消息を絶つ。
まぁ、単にただの迷子という線が濃厚だ。
けれども、もし何かしらの意図――事件やらなにやらに巻き込まれたことで、彼が消息を絶っていたのだとすれば。
ちょっと恐ろしいアドベンチャーの始まりである。
はたして、前衛職を失った俺たちで解決することができるのか。
彼の帰りを普通に宿屋で待っていた方がいいんじゃないのか。
というか、ぶっちゃけそれが正解なんじゃないのか。
「探さないというのも一つの正解ではないのかと」
「そんな!!」
「のじゃ!! 見損なったぞえ桜よ!! 迷子の迷子のシュラトちゃんを助けずに、我が身可愛さに保身に走るなぞ男らしくないのじゃ!!」
いや、男らしい男らしくないで言ったら、いい歳して迷子になる奴のが悪いやん。
なんで俺がそれで怒られなくちゃならないんだ。
理不尽だなぁとは感じながらも言い返すことはできない俺なのであった。
まぁ、たしかに、ここで見捨てたら、さすがに人でなしだよね。
人でない彼女たちに言われるのもなんだけれどもさ。
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