知の宇宙

俺は図書館に入った。

館内には誰もいなかった。

大きな丸いホールに、書物がぎっしり詰まった本棚がこれでもかと並んでいる。

ここは宇宙だ。

ここにはあらゆる知がある。

俺は宇宙の星々を片っ端から食べていった。

しかし、星は、いくら食べても減る様子がなかった。

次第に、俺はここが地獄であることに気づいた。


俺は大きな剣を持ってきて、

狂ったように星々を切り裂いていった。

あたりには紙の残骸だけが残された。


俺はホールに響き渡るような大声で笑った。

何がおかしいのか、

何が虚しいのか、

自分でもわからない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る