第2話:ここに汚物を捨てないでください
「入部希望の子が来たぞ」
黒髪ロング先輩の掠れた一声で、女子トイレの床に座ってお茶していた皆さんがいっせいに私のほうを振り返りました。
「えっえっ、新入部員っ!? わーすっごい嬉しいっ! あたし、三年の
すぐさま立ち上がり、太陽みたいに明るい笑顔で駆け寄ってきたのは、ゆさゆさ揺れる大きなポニーテールとアーモンド型の目が特徴的なスクール水着姿の先輩。まだ春先だというのに健康的に日焼けした肌がまぶしいです……が、なぜスク水。
「あ、水着気になる?」
私の視線に気付いたのか、自分の胸元を指しながら部長さん。
「これはね、水泳部と掛け持ちしてるからっていうのと、大好きなゲロを吐いたり浴びたりしたときに洗いやすいからっていう理由だよー」
「はあ、な、なるほど」
よくわからないけど、とりあえず頷く私です。
「あ、こっちは坂下モンメちゃん、二年生。副部長。ほらモンメちゃん挨拶挨拶っ」
部長さんに促されてのろのろ立ち上がったのは、ピョコンとしたショートツインテールが可愛い、ツリ目の先輩。
「……んー、ゆある部長に紹介されたから自己紹介省くけど、とりあえずウチ、ウンコ好きだから、デカいのとか出たら写真撮って送って。よろー」
「はっ、はい、わかりました、よろしくお願いします!」
そしてめんどくさそうにまた床に座り込むモンメ先輩。
私も結構背はちっちゃいほうですが、モンメ先輩は私よりちっちゃくて、わー可愛いなあとか思っちゃいました。
と、私の隣りで黒髪ロングの先輩が、けほんと小さく咳払い。
「私は、
「な、なるほど、それで声が掠れてたんですね……」
ううーん、綺麗で努力家で、すごい先輩だなあと憧れを抱くと同時に……ちょっと不安になってきてしまいました。
「それで、キミの名前と、好きな汚物は?」
「は、はいっ!」
吸香先輩に尋ねられ、思わず声が裏返ります。
「わ、私は飴猫小々奈と言います。好きな汚物は…………えっと、その……」
もにょもにょと口ごもってしまいました。
だって先輩たちが好きなゲロやウンコや痰と比べたら――私が好きな耳くそは、そんなに大した汚物じゃないような……うーん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます