いろいろリレー

リレーから遡ること1時間前。




『いいよ、じゃあわたしがもう1回走るよ…。』



高学年の騎馬戦が、危険だからと今年から中止になり、代わりに決まった競技が、“いろいろリレー”。


二人組で、それこそいろいろなカタチで走り、バトンを繋いでいく競技らしい…。



「五年の女の子が一人休みなんだよ。だから一人足らないんだよね…。」


召集所で話し掛けてきたのは、近所に住む幼なじみの、リエこと中田理恵子。

同じ団の、副団長でもある。



『それはわたしに走れってこと…?リエコさん?』

「はい。話しが早いね、なっちゃん!どうかよろしくお願いします。」

『こういうの断れないの分かって言ってるよね?』

「まあね…。保育園からの付き合いだから。」

『うん…だよね。で、誰と組めばいいの?』



リエは、ちょっと待ってと言って、少し離れた所から、五年生の女の子の背中を押して来た。



「この子、華澄ちゃん。なっちゃんも顔は知ってるよね?」

『えっ?あっ…うん。小泉夏美です。よろしく…お願いします。』

「安部華澄です。今日はすみません。よろしくお願いします。」

「じゃあ二人、よろしくね。」


リエは、わたしが2回走れるように順番を入れ替えたこと。華澄ちゃんと走る内容などを簡単に説明してくれた。


“雨降ってきたし、しかも2回走るって…。

うちの団の六年女子は速い子全然いないから、まぁしょうがないか…。”




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