嘘って何気なくついてしまうもので、それは他の人を傷つけないためだっだり、自分を守るためだったり。主人公の女の子がそうやって嘘をついて雁字搦めになっていくのがよく分かる物語でした。心情描写が際立っていて、読んでいると胸が苦しくなるんです。でも最後は救われて、胸の中の苦しさがほろほろと溶けて崩れていくよう。素敵なお話でした。
しがない社会の歯車
伏線として描かれる『山』が気になる。気になるからこそ読んでしまう。そして、主人公がくり出す嘘に翻弄された読者の私。何が本当で何が嘘かがわからない世界で生きるのには無理がある。その無理が詳細に…続きを読む
口に虚しいと書いて、嘘。その言葉通り、虚しい言葉を並べていく主人公。いつしかそれは言葉だけでなく……。そんな彼女の虚言で出来た殻が終盤、自己崩壊していく。思春期の捩れた想いが、反動のエネル…続きを読む
想像以上に深かった。嘘で得た心の安定は、嘘でしか守れない。そう考えると、胸が詰まる。自分に気付いたのか、それとも、自分のさえも騙したのか。あっさり読めて、読みやすく、それでいて深い。…続きを読む
子供の世界は学校と友達。そこで生きるための術として、少女は嘘を選んだ。大人には見える他の術も、子供には見えないから。そんな子供の世界を描いたこの物語に私が没入できたのは、かつて私が子供だったこ…続きを読む
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