読み始めは「嘘が癖になった少女」の物語だと思っていました。でもページをめくるほど、その嘘は誰かを騙すためだけではなく、自分の居場所や心を守るための、小さくて不器用な鎧にも見えてきます。
教室の湿度、放課後の空気、夕焼けに染まる山――何気ない風景が主人公の心と静かに重なり、気づけば景色そのものが感情を語っているようでした。特に山の存在は、ただの背景ではなく「心の天気予報」のようにも感じられ、読むたびに見え方が変わる不思議な魅力がありました。
何気ない会話や仕草にも意味が宿っている気がして、「あの一言は本当に偶然だったのかな」と読み終えたあとも自然と考えてしまいました。派手な展開ではなく、少しずつ心が揺れていく物語がお好きな方には、ぜひ一度この世界に足を踏み入れてほしいと思います。
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人は誰しも嘘をつきます。
相手に心配をかけないため。自分の名誉を守るため。相手を助けるため。自分を救うため。
嘘をつく目的はさまざまあります。
この物語の主人公は嘘をつきます。
嘘をつかってコミュニケーションをとり、嘘をつかって円滑な人間関係を築こうとします。
主人公がつく嘘は、どれも些細な嘘ばかり。何処にでもありそうなもの。
しかし、ある日のこと。その些細な嘘がきっかけで、彼女は孤立することになります。
なんとかしようにもどうにもできず、最後に彼女は……。
生きていく上で嘘はどうしても必要です。でも、彼女は必要以上に嘘に頼ってしまっていた。
彼女の未来がどうなっているのか私には分からないです。
けれど、彼女が、嘘をつかなくても分かり合える。そんな人に、彼女がいつか出会えると良いなと思います。
それとも、もう、会ってるのかな?
誰もがつく小さな嘘。
それがきっかけで始まる小さな物語。
貴方も是非読んでみてください。
小学生の「わたし」と「彼」をめぐる、淡い恋愛模様を描いた物語。
文章が味わい豊かで、なまじ心地よく読んでいける分、中盤から起きる「わたし」へのいじめの様子が堪える。
もともと転校生だった「わたし」は、クラスで浮かないように嘘を使って話題提供などをすることが多かったようだが、それは無害な嘘だった。
彼女がいじめられっ子に転落したのは、仲の良い話相手である「彼」に告白したいというクラスの女子の相談に乗ったことによってだ。
そこで彼女はまたもささいな嘘をつくのだが、本来は決していじめにあうような内容ではなかったはずだ。
しかしそれは結果として「彼」への告白を頓挫させることになる。それは不運な事故のようにも見えたのだが、もしかしたらそれすらも「わたし」が計画したことだったのだろうか。
もちろんそうではないのだが、まるで計画的犯行のように展開する恋愛劇の中で、「わたし」が嘘を嘘で否定して自分の気持ちを示す様子にはちょっとしたカタルシスがある。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=村上裕一)